小説・漫画好きの感想ブログ

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「銀の匙」 2巻 荒川弘著 感想 


 「鋼の錬金術師」の著者、荒川弘の新連載第二巻です。
 北海道の農業高校を舞台にした、いい感じにゆるい感じの青春ものです。
 主人公の八軒くんは、もともとは進学校に行っていたけれど勉強のほうで少し挫折して、特段の思い入れがなくこの高校に来たため、まわりとのカルチャーギャップや新しい分野のあれこれに戸惑う日々。農産科、畜産科、食品科などなど色々な学科に別れて学ぶ彼らの多くは、農家や、畜産家やの跡継ぎや、それ方面へ進む予定の高校生。なので、そういう方向がはっきりした集団の中において、自分の居場所や方向性に戸惑いながら進んでいる八軒はまだまだ子供のようなものですが、徐々に徐々にその中で自分らしさを見つけ始めます。
 この巻では、彼はクラスメートの家で住み込みのアルバイトをすることになります。夏休みになっても実家に帰りたくない彼に救いの手を差し伸べたのは同級生のアキ。彼の家は畜産をメインにしていますが、父親が入院するということで人手が必要だったのです。淡い恋心とともにバイトに帯同した彼は、そこで、野生動物の死や解体、他のクラスメートの家のそれぞれの経営などを見て、まだまだ自分がフラフラしていることに気がつきます。それは、つまりは成長しているからこその気付きなのですが、本人にとっては前途はまだまだ多難です。
 自分が育てている豚を三ヶ月後に食べられるのか。牛の出産シーンの大変さに感動の前にひいてしまうこととか。そのあたりから、どうやって解決していくのか。あと、実家に対してどのように対峙するのか。などなど青春らしい悩みと解決を北海道を舞台にして描くこの作品は、青春物の一つの新しいスタンダードになる可能性を秘めた作品です。

  

銀の匙 Silver Spoon 2 (少年サンデーコミックス)

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