「下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち 」内田樹著
実は何度も紹介しようと思いながら、そのたびに上手く書けなくて流れていた本です。
下流志向とあるように、今現在の日本は誰が見てもわかるように勝ち組・負け組という言い方は好きでないですが格差社会ですし二極分化社会です。そして、その格差が固定固着していく中で全体の活力や社会的なインフラをふくめた日本の価値がずるずると崩れていっているまさにそのさなかになります。そのことに異論がある人はいないでしょう。
その問題を社会に見る人もあれば、昔ながらの資本と労働の問題に見る人もいますし、教育に見る人も多いでしょう。もちろん経済格差がその全てにわたって横断しているわけですが、僕はもともとが教育関係の人間だったこともあって、教育に見てしまうのですね。今の仕事を始めてからは新入社員がカンタンにやめてしまったり、根気がなかったり、或いはうちに限らず世の中で出会ういろいろな若者の中であまりに無責任だったりいいかげんだったりする確率が妙に高いのがその関連として気になっていたのですが、この本はそのあたりのことでかなり強い衝撃を僕に与えました。
「ゆとり教育」や「少子化」、社会不安などいろいろなことが原因とされてきましたが、その本質の捉え方を自分は間違えていたのではないかと思ったくらいです。どうして、今の子供たちは昔と違うのか。どこに原因があるのか。それはシステムをいじったことでどうにかなる問題なのか。
そのあたりのことが書かれています。
子育て中のお母さんや、社員教育をする人、自分が若者である人、まぁそんなことを言い出したらほとんど全ての人が該当してしまいますが、それでもそういう色々な人にまず読んでみて欲しいと強く強く珍しく強く推薦します。
去年読んだ本の中でも、5本の指に入る、大変意義のある読書でした。
下流志向〈学ばない子どもたち 働かない若者たち〉 (講談社文庫)
- 作者: 内田樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/07/15
- メディア: 文庫
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