小説・漫画好きの感想ブログ

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「狂乱二十四孝」 北森鴻著

 ずいぶんと前に読んだまま紹介が遅れていた本です。
 北森鴻さんの実質的なデビュー作で、明治になったばかりの頃の、舞台を世界の場とした人々を中心に据えたミステリーです。デビュー作ながら、一つの世界を掘り下げた(今回の場合だと歌舞伎の世界)中で、幾重にもミステリのトリックと謎を配置するやり方は、まさに北森鴻らしいものです。
 ただ、最初の作品ということで、やはり文章はまだかなり固めだし、展開がかなり重く、最近の北森鴻の諸作品からするとややとっつきにくい読みにくい部分はありますが、その重さが舞台である歌舞伎の世界の芝居小屋の住人達にはぴったりとあっていて物語の世界にひたる一助になっているという見方もできるでしょう。
 あらすじは、敢えて今回はなしです。あらすじを書いちゃうよりは、戸惑いながらまるっと違う世界に入り込むように読んで欲しい本です。

狂乱廿四孝 (角川文庫)

狂乱廿四孝 (角川文庫)


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