「子どものための哲学」 永井均著
<>マークがはてなだと何かの記法になってしまっているようなので外しますが、本当のタイトルは「<子ども>のための哲学」といいます。
ま、それはさておきHANAさんにお勧めいただいた本で、新書です。タイトル通りにストレートに哲学の本です。ただ、普通の哲学の本と違って、今までの時代の哲学者たちの業績や思想体系の流れみたいなことは全く出てこないので、全然哲学に興味がなかったという人や、哲学ってお約束ごとが多いんでしょ? だから嫌なんだよねという人でもすんなりと読める一冊になっていて、そのあたりは好感がもてます。
ただし、御本人さんは、そういうことも含めて「哲学」という学問に染まっていない、変な予備知識もない子どもたちに向けてといった気持ちでこの本を書いたようですが、子どもで彼の言わんとしている事をわかる子はちょっとなかなかいないんじゃないかなぁと思います。
なんせ、この本の二つのテーマのうちの一つ、前半を占めるのは「独我論」という自分という特殊な存在を扱った哲学的テーマの思索なんですけれど、これがまた構造的にというか原理的にというか言葉でこの問題の根源的な問題点を説明しようするのは限りなく難しいし、いくら言葉を平易にしてみたところで、かなりの数の抽象的なステップを踏まないと問題の核心に迫れないというのは子どもにはきついんじゃないかなぁと思いました。
ただ、でも、そこで取りあげられていることは非常に面白いし、どうしてこの問題の本質が伝わらないかをわかりやすく書いているところは他の解説本と違ってとてもわかりやすくなっていて、面白いなぁと思いましたね。ウィトゲンシュタインの言語ゲームとかいまいちピンとこない部分もあったんだけれど、この本でかなり鮮明に言わんとすることが腑に落ちました。
。。。とここまで書いてきて、振り返ってみるに、何のことを書いているかさっぱりわからないですね。哲学の本ってどうしてもストーリー紹介ではなくて、著者も文中で書かれていますが、同じような思考の道筋を辿っていかないと知識として知ってもまったくわからないし、意味がないし、面白くないので哲学書のレビューって難しいです。←もちろん、これは言い訳ですが、この本、最初のとっつきがちょっと悪いですが、なかなか面白いですので興味をもたれた方はパラパラと最初のあたりを立ち読みしてみて下さい。それではまれたら買いで。そうじゃなければ、、わけがわからない本だなぁで終わってしまうのでやめた方がいいでしょう。
哲学っていうと最近は土屋教授の本しか読んでいなかったんですけれど、ひさびさにまたこういうの読んでみてもいいかも知れません。
HANAさん、良い本を紹介してくださってありがとうございました。
- 作者: 永井均
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1996/05/20
- メディア: 新書
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