小説・漫画好きの感想ブログ

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「クリスマスのフロスト」 R・D・ウィングフィールド著

 おはようございます、樽井です。
 明日からは仕事です。実際、エコキュートの集中工事での工事班は今日から仕事にかかっていて、自分も明日からは仕事です。このだらけきった生活からいきなり急に仕事だなんて耐えられるのかなぁと思いつつ、いやいや仕事だものとわけのわからない葛藤をしています。明日からはちょっとニュースな三面記事なんかも見ながら頑張ってみますね。このお正月のニュースの中では、ヒラリー・クリントン対オバマのアメリカ大統領争いがかなり激しく、いまのところ逆転でオバマが初の黒人大統領になれるかというところに焦点がきてこのニュースが一番ホットでした。一つ前の選挙でゴアとジョージ・ブッシュが大統領選をやって、ブッシュが大統領になってからの世界のぼろぼろさ加減は皆さんご存知の通り。アメリカの大統領を選ぶのは下手をしたら世界の王様を選ぶのとかわらないくらい重い選択だけに、けっこう目が離せません。
 それに引き換えると、日本の場合は小沢民主党代表も、自民・政府代表の福田首相もなかよくお伊勢参りだもんなぁ。いや、悪くはないけれど、そこで出てくる談話があまりにものほほんとしていて、日本の今の状況をわかっていらっしゃるのかなぁ、年金とか税制とか官僚の汚職続きとかそのあたりどうする気なんでしょうとかなりお寒い話でした。
 さて。気分を取り直して、本の紹介。


 「クリスマスのフロスト」 R・D・ウィングフィールド著


 イギリスの片田舎のデントン。
 そこに勤めるフロストという名物警部が本作の主人公で、本国では大人気のようでドラマにもなっているそうです。日本でも、何年か前に「このミステリーがすごい」とかで1位を取っていたかと思います。「このミステリーがすごい」はかなり当たり外れがあってイマイチ信用がおけないですが、これはドンピシャだったように記憶しています。
 さて、主人公のフロスとですが、絵に描いたようなでっぷりとした中年オヤジで、オヤジギャグと煙草をところかまわずふかしまくり、女と酒がこよなく好きで、嫌いなものはまじめな捜査と書類仕事というまぁ本当に困った人物です。ここまでひどい主人公というのもまぁ珍しいです。しかし、このフロスト警部のむちゃくちゃさ加減がいい味を出していて、笑いながら全編を読めます。
 ロンドンから配属されてきた新米エリートと組まされたフロスト、クリスマスの忙しい時期だというのにこれでもかこれでもかと大小さまざまな事件が巻き起こり、どれを解決するでもなくフロストと新米警部はひたすらデントンの街をあっちこっち動き回らされます。フロストのでたらめな捜査もさることながら圧倒的に人手も足らず、事件はすべて解決の糸口すら見えないような感じで進んでいくのですが、一つの事件がきっかけで残りの事件も上手い具合にその謎が順番にとけてきます。このあたりがご都合主義に見えないのは伏線の張り方が上手いのでしょうけれど、無理なく広がりきった大風呂敷の事件の数々がとかれていきます。
 緻密巧妙なトリックや奇想天外な動機があるわけではないのですが、何故かどれもおさまるべきところにおさまり、読んだあとは面白い娯楽小説を読んだなという気になります。たぶん本屋さんの店頭で手に取るとそのぶあつさにびっくりして、「おまえは京極夏彦か」とつっこみたくなるかも知れませんが、こちらは蘊蓄とかなしでひたすら面白く書かれていますので気にせず読んでいってください。
 海外ミステリで面白く笑えるもの(イギリスの面白いはオースティンパワーズみたいに感性があわないとえらく寒いことになるんですが、これは大丈夫でした)を探しているなら、これはまず間違いがないんじゃないかなと思います。ただし、下品ではありますのでご注意。
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クリスマスのフロスト (創元推理文庫)

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