「非在」 鳥飼否宇著
おはようございます。樽井です。
昨日の小沢民主党党首のコメントは、言ってる本人の話はさておき至極当然ながらひさびさに実感が出た言葉でした。曰く(消えた年金問題についての福田首相の適当なコメントに対して)「仮にも一国の国の総理大臣が公約を軽く考えているとしたら、国で一番偉い人が公約なんてどうでもいいという考えで政治をしていたらこんな国民をバカにした、政治を冒涜したことはない」。たしかにその通り。年金についてはちょっと前に舛添さんの事でも書きましたが、なんとかして欲しい話です。
さて。
今日はひさびさに今迄まったく読んだことがない人の本の感想を書きます。
「非在」 鳥飼否宇著
あなたは人魚は存在すると思いますか?
ジュゴンだったりゴマフアザラシだったり、スナメリだったりとかではなく、いわゆる人魚。セイレーン。上半身が人間の女性で下半身が魚というあの人魚です。
この人魚同様に謎の生物とされる、カッパやネッシー、宇宙人等の、続にUMAと呼ばれる生き物を探す大学のサークル、ウルトラ。彼らは、孫文の親せきが残したとされる文書を手にいれ、尖閣諸島の中に人魚がいる島があるのではと探検に出かけます。もちろん、尖閣諸島なんかには今、日中の政治的緊迫もあり、普通の大学生たちが行けるはずもなく、彼らは中国側から漁船にまぎれて日本に密入国という形でそこへ行きます。しかし、探検隊のメンバーは「人魚」「朱雀」「仙人」などを島で見つけるものの、不可思議な事態に巻き込まれ、一人一人と死んでいきます。
そして、その事件を記したフロッピーディスク入りのボックスが海岸線で一人の女性カメラマンに発見されます。最初は冗談だろうと思っていたものの、彼女はだんだんと事件が気になり、調査し、やがて裏付けとなるウルトラの隊員達の行方不明が事実とわかりついには警察も動き大々的に捜索がなされるのですが、島では彼らがいた痕跡すら見つかりません。はたして、事件は本当にあったのか?
また、島では本当は何が起こったのか?
人魚は本当にいるのか?
そして、カメラマンと彼らの先輩達はこの島で残りのメンバーを見つける事ができるのか?
あとは読んでのお楽しみですが、正直に言うとちょっと食い足りない。物語のひねりや人が死んでいくことについての謎やトリックも少し食い足りない。一応、人魚についてはある結末が用意されてはいるのですが、個人的にはもっともっと突っ込んでいって欲しかったし、もう少しドラマチックな展開を希望してしまいました。初めて読む作家さんだけに、この作家さんの中でこれがこの方の作品群の中でどのレベルなのかがわかりませんが、個人的にはもうあとひと頑張り読み応えのあるものにして欲しいなと感じました。
- 作者: 鳥飼否宇
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/08/25
- メディア: 文庫
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