『史記の風景』 宮城谷昌光著
巨人と中日のCSシリーズ。
中日が先制点を取っています。中日っていうチームは阪神ファンからしても嫌なチームなんですよねぇ。ドラゴンズのほうが勝ちそうな気配です。裏番組ではパ・リーグもロッテ対日本ハムの試合がやっているようだし、どちらの試合ももうあんまり興味がなくなった阪神ファンとしてはなにをみようか、映画でも見ようかなという感じです。
さて。
宮城谷昌光という人は、僕にとっての文学的アイドルの一人で、彼の小説からくみ出して自分の人生の処世訓にしているものも多々あるような人なのですが、なにしろ著作が多いし説明しようとするとパソコンで変換されない字が山ほど出てくるという困った人でもありますし、多少は文章を読み慣れていないと話を楽しむ前に投げ出してしまいない怖さがあってなかなかおすすめが難しいのです。
そんなわけで、今日は彼のエッセイというか随筆を一つ紹介してみたいと思います。
この本を最初に読んだのはもうかれこれ7年くらい前のことになるんですが、根が馬鹿だからかなり内容を忘れていて初めて読むように楽しめました。
内容のほうは、『史記』という司馬遷の書いた本についてのさまざまなエッセイということで、各章は二ページから三ページくらい。電車で一駅もいかないくらいに読み終わる量です。が、素材の切り取り方や話の内容が面白いので、一つの章をじっくりと読んでいろいろ物思いにに耽ったりできるかと思います。
この『史記』が書かれたのが、だいたい紀元前90年くらいといいますから、日本でいえば弥生時代のあたり。まだ日本がそんな文明程度の頃に中国では既に過去二千年間を総括するような巨大な書物が出来ていたかと思うと、それだけでもう時間の巨大さ、人の営みの連綿たるつながりに心を遊ばさないわけにはなくなってしまいます。
この本の中で僕が面白いなぁと思った雑学的な話を一つ挙げてみると、例えば数の数え方にも使われたり、公式文書で使われる、甲、乙、平、丁という言葉。戦前なんかまではよく使われていたり、今でも法律書類でよくみる、甲と乙のあれです。あれは、中国古代の商という王朝の王様の名前として順々につけられている文字なんだけれど、、、あの配列をちょっと見てみましょう。
甲、乙、平、丁、戌、己、庚、辛、壬、癸。。。
これ。そのまま見ていると単なる文字の羅列なんだけれど、読みを見ていくと、、
コウ、オツ、ヘイ、テイ、ボウ、キ、コウ、シン、ジン、キとなります。なにか気付きませんか? オツをイツ、すなわち1と読んでみると、1、2、3、4と読めると思いませんか? これは凄い話だなぁと僕はとても敬服してしまったりするのでした。
もちろん、そんな話ばかりでなくて、人物的なエピソードがたくさんありますので、御安心下さい。ちょっと古い本なので手に入りにくいかも知れませんが、機会があったらまた読んでみて下さい。
←思い切っておしてみよう
- 作者: 宮城谷昌光
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2000/04/25
- メディア: 文庫
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