小説・漫画好きの感想ブログ

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水滸伝 十一 天地の章

 別でも書いたんですが、日本の政治はもうかなりぼろぼろです。どうにも未来の展望とか理想がまったくありません。そして、このおおもとのところで国というものについてもう誰も日本では真剣に論じたり熱くなったりしなくなってしまったのも原因の一つかなと思ったりします。もちろん、学生運動やらなにやらで人死にが出ていた時代やテロなんてもっとのほかだとは思いますが、ああいう国を思う熱さにも、国を助ける一部の真実や熱意はあったんじゃないかなと思ったりもします。もちろん現代においては、あくまでも平和的にという範囲でですが。
 そんなことを思わせる背景に、最近読んだこの本があるかも知れません。
 北方版の水滸伝11巻、天地の章です。
 この巻では、宋を相手に内乱を起こしている梁山泊の二大首領の宋江と晁蓋の、梁山泊の今後の方針での対立が深刻化していきます。三万人の叛徒が揃った段階で、宋に対して、全国的な反乱の狼煙をあげていくべきだという晁蓋と、最低十万人の組織になってからにすべきだという宋江との対立は、部下に派閥を作らせないように二人だけでの対立ですが、組織の今後ということを考えれば大きな岐路となります。組織が急激にふくれあがる中で、いまの王朝を倒して民のための国を作るというところでは完全な同志でありながら対立する二人の首領。
 言い合いにもうんざりした晁蓋は、作戦のためということで北の支配地に出て行きますが、そこで思わぬことが起こるというのが今回の大筋。この一巻で物語は大きく動きます。夢を夢とせずに起った二人が巻き込んでの国をも倒す戦いにはじめて深刻な危機が襲います。百数十万の兵士を擁する絶対的な封建社会の宋という国に反乱を起こした二人の行く末は。
 男たちがひたすら熱い北方水滸伝の十一巻、激変の天地の章です。

水滸伝 11 天地の章 (集英社文庫 き 3-54)

水滸伝 11 天地の章 (集英社文庫 き 3-54)