小説・漫画好きの感想ブログ

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「凶月面 魔界都市ノワール」 菊地秀行著 感想

 菊地秀行最新刊です。
 魔界都市ノワール、ということで、AWSフラワー店主・秋ふゆはるが主役のシリーズです。秋ふゆはるは、秋せつらの従兄弟で、常に面をかぶっているというのが今までからの基本設定でしたが、この作品は、そのお面の由来を絡めた魔界都市を舞台にした伝奇物語となっています。
 あらすじとしては、ふゆはるの被っているその面が、実はノアの方舟の時代から存在した三つの面のうちの一つで、この三つの面が揃ったときには世界は滅亡するという設定になっており、今新宿にその三つの面が揃ったというところから話は始まります。
 が、当然のことながら、この設定はあまりにも後付けというかなんというか、今までそんな気配や設定の片鱗さえ出ていなかったので、ちょっと唐突な気がするのが一点。そして、この面をかぶると超人的な能力が出せる、面が人を支配する、太古からの面が戦争を起こすという設定は菊地秀行作品にはあまた存在していて、なんだか少し残念なお話でした。物語の盛り上がり具合、起伏という点にしても、一つ前の作品からするとかなり落ちます。一つ前の作品の「吸血鬼ハンターD外伝/貴族グレイランサー」が、菊地秀行復活の兆しを見せる割合によくできた作品だっただけに、それに比べると一段も二段も落ちるなというのが正直な感想です。
 

兇月面―魔界都市ノワール (ノン・ノベル)

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