小説・漫画好きの感想ブログ

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「殺しのパレード」 ローレンス・ブロック著

 
 こんにちは、樽井です。
 家の片付けをこまめにやる一日に今日はなりそうです。来週はあれこれと裁判関係のことがあるので、忙しくなるので今日はとりあえずその準備はあとまわしにして、片付けです。年越しや来年の年賀状のこととかそろそろやらないとだめな時期です。
 さて。
 
 「殺しのパレード」 ローレンス・ブロック
  
 ローレンス・ブロックの「殺し屋ケラー」のシリーズの文庫最新刊です。
 ブロックといえば、マット・スカダーのシリアスなハードボイルドシリーズと、バーニィのちょっとコメディな泥棒シリーズがありますが、しばらくはそちらの文庫が出ていない状況なので、こちらのケラーがひさびさの文庫になります。とはいえ、先に書いてしまいますが、この「殺し屋ケラー」のシリーズももうそろそろ終了しそうな気配だったりします。その予兆として、本作「殺しのパレード」ではケラーが仕事がスムーズにうまくいかない(結果的にはうまくやりますが)というシーンが多々出て来ます。
 ケラーは粗暴なところのないおとなしい殺し屋で、今迄の仕事では比較的スムーズに、目立つ事なく標的となる人物をさまざまな手口で殺してきました。しかし、今回のいくつかの依頼の中では彼はターゲットと仲良くなってしまったり、素人に家を見つけられてしまったり、或いは計画と全然違う事態に自分を追い込んでしまったりとさんざんな手違いが連発します。下手をしたらシチュエーションコメディのような事態にも彼自身たびたび陥ります。
 これは、どうやら年のせいでもあるし、また自分を見つめ直す時間が増えてきたからでもあるようです。
 殺す事に倫理観をもちこまず、ただただ淡々と仕事として人を殺して、趣味の切手収集にお金をつぎ込んできたケラーの中で何かの歯車が狂い始めています。ケラー自身もそれに気付き、彼に仕事の取り次ぎをしているドットという老婆もそれに気がついていますが、今さら別の仕事というわけにもいかず違和感を感じつつも目前の仕事を二人はこなしていきます。
 殺し屋の話なのに、感情の爆発や派手なアクションやサスペンスフルな謎解きもなく、なぜだか淡々と物語がすすんでいく不思議な味わいのあるこの「殺し屋ケラー」シリーズ、出来たらもっと長く続けて欲しいのですが、そろそろ物語は終結に向かっているよう残念。個人的には、本人はいたって普通のつもりなのに、どこかずれているケラーが好きなんで、あと数巻は続いて欲しいのですが。。。
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殺しのパレード  (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

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