小説・漫画好きの感想ブログ

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「風は山河より」6巻  宮城谷昌光著 

 戦国時代中期の年代記もいよいよ終盤。決着。
 三河制圧に意欲を燃やす信玄は、ついに三方原にて家康と激突する。圧倒的軍勢を誇る武田軍を前に、勝敗は呆気なく決し、家康は敗走。窮地に追い込まれた徳川軍の最後の砦は、野田城に篭もる菅沼定盈のみ。勢いづく敵は三万、守るは四百。絶体絶命の中、定盈は一ヶ月に亘る大攻防を繰り広げる。並居る武将を唸らせた男はいかに生きたのか。菅沼三代を描いた歴史巨編、堂々の完結。 
 本の帯からの抜粋ですが、これ以上にいうべきことがありません。
 絶体絶命の篭城戦。篭城戦というのはそもそも誰か援軍がくることが前提にするものですが、それすらも期待できないような状況で行なわれたこの篭城戦は、武士の意地と節義のみで成り立った戦なんですが、これがまた凄い話でした。
 徳川が天下を取るためには、この後も様々な戦があり、勝敗があるわけですが、この菅沼の野田城での篭城がなければそれもあり得なかったのは間違いありません。気にいった人物が次々と死んでいくなかなか辛い読み物でしたが、三代にわたる菅沼・徳川の年代記もこれにて完結です。
 

風は山河より〈第6巻〉 (新潮文庫)

風は山河より〈第6巻〉 (新潮文庫)