小説・漫画好きの感想ブログ

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「ザ・シェフ 新章」15巻 剣名舞・加藤唯史著

 新作が出ていたので、前述の病院待ち合い中にパラパラと読んでおりました。 
 「幻の料理人」味沢匠と弟子の重美が、雇われる先々で起こる人間ドラマがこの本の売りなんですが、今回は特にその人間ドラマのほうが圧倒的に比重が高く、味沢は天才的な料理人だということだけで、具体的な料理対決だったり、料理に対する蘊蓄はまったくありません。普通料理漫画だとそのあたりが前面に出てくるものですが、今回の巻はそういうのは見られず、どちらかというと時事ネタを多用した作り。エディ・チャンソンをもじったような韓国スターの写真流出と身の上話や、中国マフィアの抗争事件、自民党と民主党の政権交代の裏にあった陰謀激みたいな話、と本当に料理そのものがメインに出て来たのはほんの少し。強いていえば、弟子の重美がさる旅館のためにフレンチと和食の融合料理をつくる話や、日本の野菜(といういい方もどうかとは思うが)を外国で料理する話くらいです。
 そういう意味では、すでに料理漫画というカテゴリーにこれを入れてしまってもいいのかなという気もしないではないのですが、最近はこうした社会テーマを入れる料理漫画も多いので(たとえばミスター味ッ子2の現在連載中の話は、チェーンレストランの農家へのディスカウント要求やコストダウンの裏側でのイデオロギー的な話がメイン)、時代の流れというのがそうなのかも知れません。
 もっとも、「そばもん」やら「グ・ラ・メ!」やら「クッキングパパ」「華中華」「きららの寿司」など真っ向から料理漫画というのもありますけれどね。

ザ・シェフ新章 15 (ニチブンコミックス)

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