小説・漫画好きの感想ブログ

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「グイン・サーガ128巻 謎の聖都」 栗本薫著 感想

 グイン・サーガ最新刊です。 
 栗本薫先生が生前に書き貯めてくれていた数冊がいまだに書店に並びます。二ヶ月ごとに一冊出るのが通例だったグインが今月もまた本屋さんに並んでいるのを見て、そしてそれを当たり前のように手にとった後、普通に手にとってしまったぶん余計に、こんな風に普通にグイン・サーガを手に取るのはもう今年の年末で終わりなんだなと思うと無性に悲しくなってしまいました。
 グインの終わりというのが自分の中ではまだきちんと現実のものとして受け入れられてないんだなというのがわかりました。このままだと年があけて来年になっても普通に本屋さんに行って、「あれ? 今月は新刊が出ないのかなぁ」とぼけたことを思いそうです。あまりに悲しいから余計にそうなりそうです。なんだかグインサーガという物語が終わるというのが未だに信じられないです。
 さて。
 本編正伝128巻のこの巻、あらすじでいえばタイトルの「謎の聖都」通りに、中盤以降はヤガでのヨナとスカールの冒険が描かれているわけですが、ヤガの大規模の変化の裏には意外にもヤンダル・ゾックの影が見え隠れしてきたりと風雲急を告げる展開があるかと思えば、フロリーとの思いがけない再会などもありなかなか楽しめました。でも、個人的にはその本編の面白さもさることながら、冒頭でのシルヴィアのその後の情景に不覚にも泣いてしまいました。 
 もちろん、シルヴィアのしてきたことや、やってきたこと、性格については弁護しきれない部分があるのは衆知の事実なんですが、それでも今回のあのシルヴィアを見ているあまりに不憫で涙が出て来ました。確かに彼女のやったことは許されないことだけれど、あんなにどうしようもなく子供である彼女が陥ってしまった運命が酷く悲し過ぎて、とめようもなく泣いてしまいました。
 これでグインがまだずっと想っていてくれるならあれだけれども、「七人の魔導師」のラストの台詞ではきっぱりとシルヴィアのことを断ち切ってしまったようだし、そうなると肉親からも疎まれ、国民からも軽蔑され、誰にも省みられない王女、しかも再生の道すら与えられていない彼女が可哀想に想えてしかたなかったです。加えて、今度はあの人物までもが彼女を食い物にするべく再び現れたとなると、、、本当にシルヴィアって不憫だなと思います。
 
 追記:表紙の、「謎の聖都」ならぬ「謎の生徒」は8年間宿から出してもらえてない少女ではないかと^^

謎の聖都―グイン・サーガ〈128〉 (ハヤカワ文庫JA)

謎の聖都―グイン・サーガ〈128〉 (ハヤカワ文庫JA)


 追記2: 今年の東海グインオフ会は10月25日の予定です。10人くらい集まるのかな、楽しみです。