小説・漫画好きの感想ブログ

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「夏目友人帳」1巻  緑川ゆき著

 今更ながら、「夏目友人帳」の1巻を読みました。
 アニメとか、雑誌にのった単発を読んだりはしましたが、平積みに負けて買ってしまいました。
 あらすじは、主人公の妖怪が見える少年「夏目貴志」が祖母のレイコが住んでいる土地に引っ越してきたところ、次々と妖怪につきまとわれるようになる。実は、彼の祖母のレイコが、妖怪たちと戦い(イジメていると思われているケース多数)、そして倒した妖怪の名前を綴った契約の書が彼女の遺品の中にあり、レイコとそっくりの夏目を見つけた妖怪達がなんとかしようとやってきていたのだ。 「友人帳」とよばれるそれを無効にするには、彼を殺すか、友人帳から名前を返してもらうかしかないからだ。そんなおり、彼は偶然にもある強力な妖怪の一匹の封印を解いてしまう。その妖怪とある種の関係を作ったナツメは、その妖怪ニャンコ先生と一緒に、妖怪達に名前を返す日々を送ることになった。。
 あらすじ説明が長くなりましたが、そんな感じのお話です。主人公はけっこう不憫な人生を歩んできていて、彼は幼い頃から親せき中をたらい回しにされて暮らして来ました。今彼をひきとってくれているのは本当にいい人たちですが、そこに辿り着くまでは、主人公が普通は目に見えないものを見てしまうのを気味悪がったりやなんやで、本当に孤独な生活でした。まわりに見えないものが見える、「もっけ」と同じような状況ではあるんですが、相談したり共有できる人がいないということでより悲惨な生活を彼はしていました。そんな彼が幸か不幸かニャンコ先生と出会うことで、ある程度安定した暮らしをしていけるようになったのは読んでいてほっとすることでした。
 尤も、見えるということの苦しさから解放されたわけではないですが、わけのわからないものに一方的に追い回されることのなくなった彼は、さまざまな妖しや土地神のようなものとも交流したりとしていきます。その過程や一つ一つのエピソードが本当によく出来ていて、いいお話だなと思いました。
 土地神となったあやかしとの交流も、ダムの底に沈んだ燕のあやかしとの交流もせつない感じと暖かさがいい心持ちです。綺麗すぎるといえば綺麗すぎるのでしょうけれど、このピュアさはいいです。
 誤解を恐れずにいえば、絵の綺麗さや、主人公達の繊細な心持ち、感情の起伏の激しさなどがすべていい意味で少女漫画的な完成度の高さを示していて、個人的にはとても心地よかったです。続きも少しずつ読んでいきたいと思います。

夏目友人帳 (1) (花とゆめCOMICS (2842))

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