小説・漫画好きの感想ブログ

小説・漫画好きの感想ブログ

スウィーニー・トッド 映画感想ネタバレ注意

 こんばんは、樽井です。
 ただいま戻りました。世間様では三連休でしたが、こちらはエコキュートとオール電化の集中工事かせあいかわらず切れ目なしなので、休みではなく出勤。工事が堺方面で明日からはどんどん始まっていきます。伊丹で一件だけあるけれど、あとは本番の南方面です。ま、それはさておき、のびのびになっていた映画紹介。
 「スウィーニートッド(スウィーニー・トッド?)」です。
主演はジョニー・デップ、監督はティム・バートンとくれば面白くないわけもなく(ジョニー・デップティム・バートンといえば「シザーハンズ」「チャーリーとチョコレート工場」「スリーピー・ホロウ」と立て続けにあり、まるで往年の伊丹十三監督と宮本信子くらいきっても切り離せない関係に既になっているような気がします)、個人的には大当たり映画となりました。
 前評判がよかったのか、「パイレーツ・オブ・カリビアン」の熱気がそのまま残っているのか映画館は若い女性だらけで、熱気もたっぷりでした。 
 さて。
 あらすじ。主人公のトッドことベンジャミン・バーカーは、かつてロンドンで可愛い妻と赤ん坊と幸せに暮らしていた腕のいい理髪師でした。しかし、十五年前、彼は彼の妻に横恋慕した悪徳判事のターピン判事に無実の罪をなすりつけられ、投獄されてしまいます。バーカーがいなくなったあとも赤子を抱いて貞操を守っていた妻でしたが、再びのターピンの企みによって衆人環視のもと無理矢理手込めにされ、ついにはヒ素を自分で煽ってしまいます。ここまでだけでも鬼畜のターピンですが、彼はさらに赤ん坊のジョアナを自らの養女として育て、彼女が美しく成長した今、これを自分のものにしようとしています。ロンドンにトッドと名を変えて戻ったバーカーは、かつての店の下にあるパイ屋のラペット夫人の力も借りて、判事に復讐を誓うのでした。
 武器は、理髪師の唯一の武器でもあるカミソリ。このカミソリで憎き判事の首を切り裂くことを夢見るトッドはいつしか復讐のためには手段を選ばない悪魔の殺人者となっていきます。そこに、ジョアナを慕う青年。実は昔からトッドに惚れていたラペット夫人の妄想等が加わって話は悲喜劇の様相を呈してきます。。。(セヴィリアの理髪師なんかも下敷きにしていたりとか)。。最後のどんでん返しまできっちり悲喜劇。

 というような話なんですが、先に書き忘れましたが、この映画、基本的にはミュージカル映画です。そういう予備知識なく観に行ったので最初面くらいましたが、これがなかなか面白かったです。殺すものと殺されるものが掛け合いで歌う歌、ブラックな風刺がきいた殺人の歌、恋人を思う魂の歌、悲しい鎮魂歌の歌、全てがピタっとはまっていてかっこよく面白かったです。もともとは自分はミュージカルとかがあんまりダメなので、今迄ミュージカル映画で面白かったといえば、ブライアン・デ・パルマ監督の「ファントム・オブ・パラダイス」くらいしか思い浮かばないのですが、これは素直に面白かったです。
 特に歌で一番楽しかったのは、殺す側のトッドと殺される側のピータン判事の掛け合い、そしてラペット夫人の妄想爆発(この妄想っぷりはのだめカンタービレののだめに匹敵するなと変なことを連想しつつ見ました)のシーンの歌です。全編が暗いのにここだけ映像も妙に明るく白くて笑わせてくれました。また歌もうまいんだな、みんな。猛練習したんだろうなぁというのがひしひしと伝わって来ます。
 また、もともとが、既にミュージカルコメディとして有名な作品だったらしく、コメディとしても十分に練られていいて確実に笑いを取ってくるんですが、それにしても完成度が高かったです。前評判というか番組宣伝を見ている限りではけっこうホラーだったりスプラッターのイメージが先行していたのですが、始まってみると確かに残虐なシーンが多いのに笑えるシーンの方が多かったですね。トッドが最初に殺人にいたるシーンなんか火曜サスペンス劇場なみの変な盛り上がり方だし、いったん殺しを日常的にするやいなや展開やコマ割なんかがまんま漫画みたいな軽いタッチで進んでいくしテンポはいいしで、あっという間の二時間でした。
 スプラッターで、ホラーで、でも基本コメディな復讐もの。
 それらをぐっと一つの完成度の高い映画にしているのが、18世紀の衣装を中心とした映像美と色を本当に上手く遣った色遣い。
 ひさびさに、文句なく楽しめた映画でした。