小説・漫画好きの感想ブログ

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「無限の住人」27巻 沙村広明著 感想

 本年21冊目の紹介本です。
 もうかなり長寿漫画になった「無限の住人」最新刊、27巻です。今巻は、体内に蟲を入れられ不老不死の身体になった主人公・万次と、実の父母を逸刀流に殺されその統首の殺害を依頼している凜の旅については、物語からフェードアウト。まったく出てきません。
 この巻では、彼ら逸刀流を狙うもう一つの厄介な敵である、元幕閣の一人・吐と彼の抱えていた二つの秘密組織の六鬼組と無軀流が彼らに迫ります。六鬼たちは、逸刀流の新規合流メンバーたちを圧倒的な剣の力で追い詰め、無軀流の最後の二人、偽一と百琳は逸刀流の副将・阿波山と激突します。
 鎖鎌のような武器の使い手で圧倒的な強さを誇る偽一。
 老齢ながら、副将として力を見せる阿波山。
 二人の激突だけで巻のほとんどを占めるような激しい戦いが繰り広げられます。ともにまともな日本刀ではなく、鎖、変形刀を使う変則的な戦いですが、耳が飛び、額が割られ、体を切り裂かれる激しい戦いで、まさに大将戦の前にふさわしい戦いでした。 
 あとに残るは、逸刀流統主の天津影久と、万次もしくは、彼と吐木たち六鬼との死闘のみです。天津に先に追いつくのは、万次たち一行なのか、それとも吐たち一行なのか、奥州を舞台に最後の時が近づいています。
 ここまでの長期連載漫画になるとは思いもしませんでしたが、ここまでずっと高いテンションのままで来ていて、一瞬たりともだれることのなかったこの漫画のクライマックスがどうなるのか。とても楽しみです。
 
 追記:少し残念といえば、偽一には縁なしの丸眼鏡グラサンをかけたままで戦ってほしかったです。スキンヘッドに黒サングラスが彼のトレードマークですからね。百琳さんがカツラで金髪で戦っているように、江戸時代にあっては通常の人間でないというのも一つの記号ですからね。

 

無限の住人(27) (アフタヌーンKC)

無限の住人(27) (アフタヌーンKC)

ちなみに、こちらのハルシオンランチもそろそろ二巻が出る頃です。無限の住人が江戸時代のチャンバラものなのに対して、こちらは現代を舞台にしたSFオカルトギャググルメ作品です。案外にこちらもいけます。

ハルシオン・ランチ 1 (アフタヌーンKC)

ハルシオン・ランチ 1 (アフタヌーンKC)