小説・漫画好きの感想ブログ

小説・漫画好きの感想ブログ

「王様の仕立て屋〜サルトフィニート〜」29巻 大河原遁著 感想 

 本年6冊目の紹介本です。
 王様の仕立て屋。三年半ほど前にこのブログを立ち上げたときに最初に紹介したのが確かこの漫画だったのですが、予想より遙かに長期連載になっております。世の中に蘊蓄漫画はたくさんあれど、飲食グルメ系以外での蘊蓄漫画でここまで引っ張るとは予想だにしませんでした。
 (飲食グルメ系の蘊蓄漫画は、「美味しんぼ」「味いちもんめ」を筆頭に王道もののカレーを中心の「華麗なる食卓」ラーメン主体の「ラーメン発見伝」みたいな売れ筋商品主体のものや、最近ではお茶やB級グルメ、はては「ダシマスター」のような出汁に照準を絞ったのまでありますからね。世は本当に飲食グルメ蘊蓄漫画が大流行ですよね) 
 さて。
 スーツを主体にした蘊蓄漫画の「王様の仕立て屋」今回のお題は、腕時計とコーディネートするスーツです。スイスのジュウ渓谷で作られる天下一品の一流の腕時計。その腕時計が嫌みにならずでしゃばらず、さりとてそれと人目見てちょっと目をひくスーツをという無理難題に、行きがかり上、主人公の悠が挑みます。
 といっても、いつもならば悠の一人舞台になるところですが、今回はその行きがかりが財閥のお嬢様と駆け落ちした、わかき天才時計職人に対しての腕時計の無理難題もついてきていますから、一粒で二度美味しいお話です。作中でも触れられますが、時計に関しては、その開発当時から、各国がその技術や、正確さ、豪華さを競って、国家規模の予算を投入して作っていたわけで、確かに今でも本物の超一流の時計はほれぼれするほどの見事さと機能美と優美さを兼ね備えています。そんな腕時計とその腕時計を引き立てるスーツの共演というのはなかかなに男性特有の所有欲をそそるものがあります。
 僕なんかも、個人的に言えばフェラーリよりもランゲ&ゾーネやフィリップ・パテックスといった時計の方がいいですし、もしお金が余っていたら、そういう腕時計とちょっといい感じのクラシカルなスーツの方が実は欲しかったりしますからね。何かがあってどこかに体一つでいくことになっても、身につけた時計一つあれば一年は楽に暮らせるというのは、実用性という意味では指輪をつけない男性にはこれ以上ない実用性のあるものかも知れませんし。
 ともあれ、この巻では、時計の歴史と時計に似合うスーツの蘊蓄が語られます。
 もちろん、漫画としても面白いです。

王様の仕立て屋 29 〜サルト・フィニート〜 (ジャンプコミックスデラックス)

王様の仕立て屋 29 〜サルト・フィニート〜 (ジャンプコミックスデラックス)