小説・漫画好きの感想ブログ

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「零崎人識の人間関係 戯言遣いとの関係」 西尾維新著 感想

 人よりもずいぶんと遅れて読んだ西尾維新さんの作品の中でも、最初にそれを読んだせいか、「戯言遣い」のシリーズが自分にとってはベスト作品となっています。その「戯言遣い」シリーズのスピンオフともいえるのが、作中に出て来た殺人鬼・零崎一賊の鬼子、零崎人識とその家族達を主人公に据えた「人間関係」シリーズ。
 今までも、人識の兄達との関係をそれぞれ描いた「人間試験」や「人間ノック」などの幾つかの作品がありましたが、今回はなんとそのシリーズが完結、しかもその完結篇として四作品が同時出版というのですから、西尾維新さんもかなりの離れ業をやってくれます。
 (この「零崎人識の人間関係 戯言遣いとの関係」と「無桐伊織との関係」「匂宮理澄との関係」「零崎双識との関係」の四冊が同時発売です)

で、その四部作の中で一番本編との関係が深いであろうというのが、この作品です。が、ある意味で一番内容が薄いというのもこの巻のような気が致します。というのも、タイトルからすると、戯言遣いの主人公とこちらの主人公がしっかりと絡むようなニュアンスを受けますが、実際に読んでみるとほとんどというか直接の絡みは一切無くて、戯言遣いの周辺人物と人識が出会ってあれこれするという話で、時系列的には確かに「クビシメロマンチスト」の裏側あたりも出てくるのですが、だからどうしたという感じがして肩透かしでした。あとの三作品がそれなりによく出来ていたので蛇足の感がしないでもない一冊です。
 他の三作はお勧めできても、これはあまりお勧めできません。
 もとより、両シリーズを読んでいないとたぶん全然わからない話なので、万人向けではないのですが。。。

零崎人識の人間関係 戯言遣いとの関係 (講談社ノベルス)

零崎人識の人間関係 戯言遣いとの関係 (講談社ノベルス)