小説・漫画好きの感想ブログ

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「猿きたりなば」 エリザベス・フェラーズ著


 
 「春きたりなば」ではなく「猿きたりなば」。
 このネーミングは翻訳の方のセンスで決まったのでしょうが、このタイトルのおかげでインパクトがものすごくあって思わず手にとった人も多いでしょう。日本ではあまり翻訳がされていないエリザベス・フェラーズの小説群の中でも、珍しいシリーズ物の翻訳第一号がこの「猿きたりなば」です。
 このシリーズには、ハンサムだけれど実はあんまり推理力がない探偵トビーと、助手のワトスン役ながら実は頭脳明晰で何でもできるジョージの二人が登場します。このシリーズは、二人のキャラクター造詣がかなり楽しくてついつい読んでしまうシリーズです。
 さて。本作では、二人のもとに南イングランドの片田舎から誘拐事件を解決して欲しいという依頼が舞い込んでくるところから始まります。手紙を受け取った二人は、約5時間の汽車の旅を終えてやってきたものの約束の迎えはきておらず、すでに終バスも終電もありません。あまりに田舎すぎて、ホテル兼パブも一軒のみしかありません。ある意味陸の孤島のような場所です。
 こんな風変わりなところでの誘拐事件なんて、と思っている二人がすったもんだのあげくに依頼人にあったと思いきや、誘拐されたのはチンパンジーだと分かります。馬鹿にされているのか悪質な冗談なのかと疑りつつも、依頼主の博士のもとへとやってきた二人の前に、惨殺死体となったチンパンジーが横たわっていました。
 かくして、二人は歴史上稀にみる珍事件、チンパンジー殺人(殺猿?)事件を解決する事になるのですが。。。
 ということで、ユーモア溢れる珍ミステリー、「猿きたりなば」。かなり面白いと自分は思います。意外に本格推理ものでもあるし、お勧め。5の4 でお勧めします。
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猿来たりなば (創元推理文庫)

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