小説・漫画好きの感想ブログ

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「陰陽師 瘤取り晴明」 夢枕獏著

 陰陽師、文庫では久しぶりの最新刊です。が、この本が文庫に落ちるまでに7年かかったというのはかかりすぎ。もうちょっと早く出してほしかったものです。たしかこのくらい前だと、SMAPの稲垣吾郎安倍晴明役を演じていた頃でしょうか。
 さて。
 この作品は、今までの「陰陽師」シリーズのようにいくつかの短編が入っているのではなく、「瘤取り晴明」ただ一本だけが入っている本です。その代わり、村上豊さんの不思議な味わいのあるタッチのイラストが全編を覆い、夢枕獏さんの文章とあいまって、まるで一冊の絵本のような仕上がりになっています。
 ストーリーは、タイトル通りに瘤取り爺さんのお話がモチーフになっていて、平大成・中成という双子の薬師のお爺さんが百鬼夜行の鬼達の宴になりゆきで絡んでしまい、晴明に助けを求めるといういたってシンプルな筋書きです。幻覚作用などももちキノコを採りに山に入った大成がキノコ狩りに夢中になって、鬼達の宴会につい参加してしまいそこで踊りを披露する。その躍りの見事さに感動した鬼たちに瘤を取ってもらった大成は、次回も宴会に出て踊るようにと約束させられるのだが、、、、。
 今迄の「陰陽師」シリーズを読んでいたらより楽しめる登場人物などもゲスト的に登場いたしますが、これが初読みの方でも問題はない内容です。妖し達と安倍晴明源博雅とのかけあいや宴の様子にどこか癒されます。
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陰陽師―瘤取り晴明 (文春文庫)

陰陽師―瘤取り晴明 (文春文庫)