小説・漫画好きの感想ブログ

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「進化しすぎた脳」 池谷裕二著

 ブルーバックスです。
 大脳生理学の最新成果を中高生を相手に講義するというコンセプトの本なんですが、これが文句なく面白い。
 何かを知るわくわくどきどき、興奮、そして知的好奇心が満たされる満足感。どれをとってもひさびさに学術系で大ヒットの本でした。これは、著者の軽快な語り口調と話の展開の上手さによるところがかなりあると思いますが、内容そのものも、ただ単純に「脳とは何か」「脳の機能」といったものではなく、「無意識と意識の違いに脳はどう関わっているのか」とか「脳と精神の関係は」などの哲学的なテーマにまで踏み込んでいて興味深いです。
 どれもこれも興味深い記事なので、例を一つ挙げるのが難しいですが例えばこんな話が出て来ます。猿の実験ですが、猿にテレビゲームを覚えさせます。テレビゲームの中でロボットアームを操ると、実際にバナナがご褒美に与えられるようにする。そうすると猿は結構器用にコントローラーを使ってゲームをします。その猿の指の神経に電極をさして、コントローラーではなく直接ゲーム画面の中をコントロールできるようにする。猿は気付いてないかも知れないけれど、コントローラーは全く機能させないでおいても、猿はゲームをコントロールできます。次に、コントローラーをコントロールする指の神経を使う腕の神経に電極を指して、実物の猿の手は動かなくする。それでも、猿は自分の手やコントローラーが機能していると思い込んで、ゲームをする。実際には腕の電極から直接コントロールしているのにも関わらず、そうできる。つまりは、電極をあるべきところに仕込んでおけば現実にはそこにないものをあるようにコントロールしている感覚で動かせる。これを更に進めて行くと、本当にやった実験なんですが、脳に電極をさして手が動かないようにしていても、猿はあたかも自分の手がそこにあるようにゲームをできるのだそうです。つまり何がいいたいかというと、この猿は(というかすべての動物は)脳でイメージして身体を動かしているということの完全な証明ができたのと、脳からの電気信号を拾う装置があれば(電極でもいい)、神経を直接つながなくても義手や義足を動かせるように出来るということです。このような事がいろいろ書いてあります。
 文才がないので、書くと面白さの万分の一も伝わってないのが残念ですが、このような感じで脳について色々な話がなされていて本当に面白かったです。

 さて、ここでクイズです。
 前提です。脳には身体の各部分に対応する部分が固有にあります、舌には舌に対応する部位が、目には目に対応する部位があります。人差し指には人差し指の、五指には五指に順番に対応する部分があります。では、なんらかの事故で指が一本欠けてしまった場合、その部分はどうなるでしょうか。これが意外な答だったんですよ。
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進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線 (ブルーバックス)

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