小説・漫画好きの感想ブログ

小説・漫画好きの感想ブログ

「楊家将(上)(下)」 北方謙三著

 
 テレビで「古代ローマ1000年史」というのを見ながら書いています。
 たぶん塩野七生さん監修なのでしょうか、ところどころに「ローマ人の物語」の影響が見えます。
 今のところまでで、ハンニバルが出てくるポエニ戦役までで結構時間とってるから、このあとのシーザー(ユリウス・カエサル)やネロまでいきつくのかと不安になってきましたが、なかなか面白いです。こういうのこそ時間かけて撮ってきてくれていてお正月らしいです。ちゃんと史料読み込んでつくってあるようで見てて面白いです。しかし、、、こういうのを見ていて思うのは、あちらの国々の戦いにかける執念というか何というか徹底した戦いの意志の強さですね。だってポエニ戦記なんて120年以上続くのですよ。ローマ対北アフリカの戦いが、120年。日本でいうならば、明治時代から今現在までなお続く戦争を彼らはしていたわけです。ハンニバルなんて、スペイン経由でローマに攻め入ってかれこれ十年近くもイタリア国内をあっちを襲いこっちを襲いと連戦を続けるのですからただごとではないです。当時の武将や兵士たちというのは現在のやわな我々には想像もつかないような何かをもっていたのかも知れません。
 ということで年末年始にかけて読んだ小説を一冊。

 「水滸伝」の時代から百年くらい昔。
 再び中国が群雄割拠の時代になっていた時代の終わり頃、中国には、北の巨大国家・遼、中原を支配する宋、そしてその間に挟まれた北漢の三つの国がありました。この中で一番小さく、二大国に挟まれていたのが北漢で、その中で国の独立を守るために最強の軍隊を養っていたのが将軍の楊業ひきいる楊家軍でした。
 楊家軍は父である楊業を筆頭に七人の息子たちがそれぞれ一軍を率いる武将となり、圧倒的な戦闘力を誇り、その強さは全土を見渡しても匹敵するものがないとまで言われていました。しかし、力のありすぎる事が北漢の宮廷の反発と猜疑心を生み、いつも戦闘では厳しいところにまわされ、平時の扱いもいいものではありませんでした。いつか力を帝に向けるのではないかという恐れからの扱いでした。しかし、それでも楊業は一武人として軍人は戦をするだけで政治に口を挟まないことをよしとして命じられた戦いだけをもくもくとこなしていました。
 その彼らに転機をもたらしたのは、宋の帝の親征でした。国防のために、圧倒的に少ない陣容で彼らに正面からぶつかりながら補給が受けられず援軍もこない楊家軍。ここに目をつけた宋の帝がからめ手でせめてきます。これに乗ってしまった北漢の帝はついに自らの切り札である楊業の首を取ることを決意、罠で楊業を追い込みます。ことここにいたって、楊家軍は北漢に残ることを断念。宋に帰順します。これにより戦況は一転。北漢は宋に滅亡させられます。
 しかし、これは宋と遼の激しい戦いの始まりに過ぎなかったのです。。
 ということで、楊業とその息子達の激しい戦いを描いた楊家将。
 これ、中国では三国志水滸伝と並んで、「水戸黄門」くらい誰でも知っている英雄物語らしいのですが、自分にとっては初めて知る物語でした。一族全員が武将として達人の域で個人戦や用兵戦までやってしまうという無茶苦茶さ。でも、それがある程度史実だというからさすがに中国は広いというしかありません。その彼らが、外様としてついた宋の文官や武官の対立に巻き込まれながらも、今度は遼との戦闘で前面に立つのですから、さらに激しい戦いにならないわけはありません。あとは読んでのお楽しみですが、とにかく熱い物語です。
にほんブログ村 本ブログへ←押してあげて下さい

楊家将〈上〉 (PHP文庫)

楊家将〈上〉 (PHP文庫)