僕のミステリな日常 若竹七海著
若竹七海のデビュー作。
ずいぶん昔に読んだ本ですが、先日読み返してやはり傑作だなと思ったので紹介します。
形式としては連作短編小説ミステリーとなっています。とある建設会社の広報部が発行している社内報に、先輩のつてで載せた短編小説。一ヶ月ごとに載るその短編小説は、身近に起こったことや昔の日記をもとに書いているという設定であるわけですが、それが非常に巧いんです。
一つ一つの短編が見事にミステリーとしてきちんと成立しているのもさることながら、それが十二ヶ月分集まった時に実はその小説群の中にもう一つの物語が隠されていたという新しい展開があります(だから決してあとがきや解説から読まないで下さい。面白さが半分なくなります)。「やられたな」と思い、もう一度読んでみたくなること必須です。最近ではそういう手法もままあるようですが、これが出た当時かれこれ10年以上も昔の話ですから、当時としては斬新きわまりない感じを受けました。
今回読んでみても、内容のバラエティと書き手の巧さには感心することしきりでした。最近の若竹七海よりもこの時のタッチのほうが好きだなと認識するくらい良いです。
- 作者: 若竹七海
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1996/12
- メディア: 文庫
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