小説・漫画好きの感想ブログ

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「猫丸先輩の推測」 倉知淳著

 こんばんは、樽井です。
 いよいよ香川県の祖母とお孫さん三人の行方不明事件が解決? したようですね。昨日までは全く犯人が分からないような雰囲気を受けたんだけれど、実はこっそり警察は絞り込んでいたのでしょう。ひさしぶりに見直しました。ただ、山下清お父さんにとっては、すごく複雑な心境だと思うんで、マスコミはそっとしてあげて欲しいと思います。でも、そうはいかないんでしょうねぇ。解決したけれど、やれきれない事件です。
 さて。
 気分を切り替えて、本の話ですが、今日は結構本の購入を悩みました。というのも、夢枕獏の「シナン」というイスラムの建築家の話も長編ながら面白そうだし、佐伯泰英の「攘夷」もいよいよクライマックス的な話のはずだし、森博嗣は「変わった子います」というのが全然ノーマークに出ていたし、ジェフリー・ディーバーは「石の猿」とかいうボーンコレクターからのリンカーン・ライムシリーズの文庫新刊が出ていたしで、本当にまぁ悩みました。けれど、今日最終的に仕入れたのは、リンゼイ・デイヴィスの「一人きりの法廷」という密偵ファルコシリーズの最新刊。このシリーズは、ローマ時代のミステリという事でなかなかお勧めなのです。塩野七生の「ローマ人の物語」が好きな人には是非読んで欲しいシリーズなんですよ。あぁ、あとさんざん迷いましたが、ジョジョの奇妙な冒険の20周年記念の「THE BOOK」という荒木飛呂彦さん原作のジョジョの第四部をベースにしたオリジナル小説、乙一著というものも見送りました。ファンだからこそ、ノベライズにはちょっと手が出にくいです。誰か読んだ人いたらまた感想などお願いします。


 「猫丸先輩の推測」 倉知淳


 猫丸先輩の推測というタイトルにいきなり脱力してしまいます。 
 ミステリなのに、推理でも事件簿でもなく、「こんなことじゃないのかな」といったニュアンスの「推測」という言葉をもってくるあたりが非常に脱力です。タイトルと同様に主人公の探偵役の猫丸先輩も、ハードボイルドなタフガイでもなければ腕利きのこだわり人でも変人の美声年でもなく、すごく小柄でかわいい顔の年齢不詳の猫丸先輩という不思議なキャラ。彼は、大人なのに子供のように無邪気でお調子もので、口先が達者でおしゃべりで、それでいて頭が切れるというなかなかに楽しい主人公で、その主人公のお人柄か、日常に起こった様々な事件も謎も、軽口を叩きながらぽんぽんと鮮やかに解決してしまいますので、非常にあっさりと読めてしまいます。
 それでいて、実はこの倉知淳さんの短編ミステリ集は、実に謎の解決は本格的で、外見はあまあまだけれど中身は超本格、なるほどと思わず感心してしまうくらい切れ味が鋭いのですから、お買い得な一冊です。もう十年くらい前に読んだ本だと思うのだけれど、今回再読してみて、やはり切れ味に感心したし楽しく読み返すことができたので自信をもってお勧めできます。
 これ、面白いですよ、と。
 「失踪当時の肉球は」とか、短編タイトルもちょっと遊び心があって個人的にとても気にいっています。実はこれシリーズの第四作目なんですけれど、わけあってこの本から先に紹介させてもらいます。というか読むのもできたら、ここから猫丸先輩シリーズには入って欲しいです。シリーズ第一作であり倉知先生のデビュー作の「日曜の夜は出たくない」はあえて後回しにして下さい。
 あと、唐沢先生のイラストも非常にマッチしています。

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猫丸先輩の推測 (講談社文庫)

猫丸先輩の推測 (講談社文庫)