小説・漫画好きの感想ブログ

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キノの旅 時雨沢恵一著

 こんばんは、樽井です。
 部屋の掃除をぼちぼちとしております。昨日ブログに書いたように家計簿をつけ、ざっとニュースに目を通し、眠りにつくまでのひとときを、阪神タイガースの録画放送を見ながら過ごしております(とかいいつつ、さっき、北野勇作のウニバーサルスタジオという本を読んでいて結構時間を過ごしてしまいましたが^^)。
 この秋からチーズとか卵とか乳製品が値上げされるというニュースで少し落ち込んでおりましたが、ちょっと回復してきました。どうしてこう最近の新聞は値上げのニュースばかりなんでしょうかね。円高が進んでいるんだから、逆にちょっと安くなるものがあってもいいと思うんですが。例えば、輸入食品とか。ちまたではボジョレー・ヌーボーの予約が始まっておりますが、ワインとかウィスキーとか、樽井は大して飲みませんがそういった洋酒が下がったりしてもいいでしょうし、オージービーフのステーキなんかが値下がりしてくれると美味しいんですが^^
さて。
 それはさておき、昨日は漫画の紹介だったので、今日は小説のほうに行きましょうかね。漫画の方も色々面白い作品や最近最終回を向かえた「新暗行行使」(ちなみに原作も漫画も韓国の人が書いている日本ではちょっと珍しい作品です)とかもうじき最終回迎えそうな「無限の住人」とか逆に終わりが見えなくなってきた「BLEACH」とか色々あるんで漫画もまたやりますが、とりあえず小説を。


  『キノの旅』 時雨沢恵一著  電撃文庫


 パースエイダーというピストルのような武器を片手に、モトラドという喋るバイクに乗って世界中を旅してまわるキノ。キノは、一つの国に三日だけしか滞在しないというたった一つのルールを守って、世界中を旅しています。
 キノは、あくまでクールで落ち着いていて、少年のようでもあり少女のようでもあり、とても魅力的な人物です。時にはその魅力ゆえ危険な目にも遇いますが、基本的には彼は傍観者として世界を旅しています。
 時には驚くべき事件がキノの前で起こりますが、キノはそれを眺めはするものの積極的に関与することはなく、あくまで流されるままに事件を見、そして三日がたつと国を出てゆきます。 
 考えたり、感想をもつのは読者にまかせて、キノはただただ旅をします。
 その淡々さとした姿が、文章の淡白さととてもマッチしていて、ジュヴィナル小説ではありつつも、大人の読者をも十分に魅了する寓話のようなものにまで作品を昇華しています。
 ありがち、といえばそう言われても仕方がないストーリーの話もありますが、こういうスタイルで自分を表現したり、メッセージを送るタイプの作家がほとんど絶滅している現在、この時雨沢恵一という作家のこの作品は一読の価値がある作品かと思います。
 ほんとうに短い、数十ページで一つの国での話が終わってしまうこの物語は、それだからこそ、キャラクターの歴史の積み重ねによる重い感情移入を排して、どこから読んでも、どれを読んでもあとに残る仕上がりになっていて。一度ならず二度、三度、また時間をあけてぱらぱらと読むに耐えるように出来ていると思います。
 そんなわけで、ライトノベルとかティーンズ小説とか読まない人には、電撃文庫という文庫レーベルすら初めて聞く方も多々いると思いますが、これは読んでみても損はないと思いますよ。

 ※ただし、最近このシリーズの外伝ともいえる「学園キノ」というシリーズが出ていますが、本編を好きな人の一部からすると著しくイメージが崩れるので、基本的には本編シリーズから読んでいかれる方がよいかと思います。僕は「学園キノ」のほうは全然ダメでした^^

キノの旅―The beautiful world (電撃文庫 (0461))

キノの旅―The beautiful world (電撃文庫 (0461))