小説・漫画好きの感想ブログ

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映画「プロメテウス」感想 ネタバレあり

映画「プロメテウス」感想 中盤からネタバレあり

映画「ブロメテウス」、見てきました。
TVCMが始まったときから気になっていたんですよね、この映画。なんとなく「エイリアン」を思い出させる映像に、「人類は進化でもなくDNAでもなく誰かが作り上げたもの」というモノローグ。人類の起源に迫るSFだなんて、どんな新しいSF・センスオブワンダーの輝きを見せてくれるんだろうとワクワクドキドキ。それが近くの映画館の情報を見ると、一般公開に先駆けての先行上映より更に一週間早い特別上演があるということで、喜び勇んで見てきました。
しかし、、、、、(ここから下はざっくりとしたネタバレ含みますので、先入観なしで映画を楽しみたい方は、「続きを読む」以降はあけないほうが無難です)、、、個人的にはこの映画あんまりオススメではないです。正直ガッカリです。リドリー・スコット監督作品だから見たいとか、映像美に惚れ込んでいるというなら別ですが、そうでないなら、、、うん。あんまりだなぁ。オススメできません。

(簡単なあらすじ紹介 ここならまだ引き返せます)
2079年、新たに発見された遺跡にあった壁画には、先史時代の人類に共通の「六つの星」と「巨人」が描かれていた。シュメール、マヤ、バビロン、世界各地に散らばり出会う筈がなかった彼らに共通したこの象徴は、遙か古代にこの星が指し示すところからやってきた巨人が人類の誕生に関わる何か、人類を生み出した創造主に繋がる何かに関係するのではないか。そう仮説を立てたエリザベス博士とチャーリー博士。
彼らの仮説にウェイランド社の社長のピーターは100兆ドルもの資金を出資。その仮説を確かめる為に彼らを送り込んだ。サポート要員にアンドロイドのデビッドを随行させ、宇宙のはての六つの星のもとに。。。。。

さて。
警告を踏み越えて、ここまで読み進めた方にネタバレありで感想を書くと、、この映画、いくつか欠点というか致命的にダメな点が二つあって、ちょっとそれはひどいんでないの? と僕は思っています。

(ここから先を読むと映画見る気がかなり失せますから、読むのは心してくださいね。警告は二回しましたからね。あとは自己責任で頼みます)

第一の欠点は、これはもう致命的だと思うんですが、、この映画、完結していません。はっきりいって、「続く」とテロップが出てもおかしくないところで終わっています。一応、一作の映画としてまとまっていないことはないと強弁できなくはないと思いますが、普通の感覚からすると、オチてません。ダメです。
最初から二部作と謳っていれば文句はありませんが、普通に一作で話が完結すると思っていたら、終わりません、一応最後はアクション映画のような大立ち回りがあって一つの物語の終わりはきます。けれど落ちていませんし、ここで終わりなのと劇場で唖然とすることは間違いがありません。
なんせ作品で謎とされている、人類は誰が作ったのか、何故作られたのか、或いは作中の登場人物の謎も全てが未回収のまま、とある惑星で見つかったエンジニアたちは何者であるかとかまったく明かされません。単に凶暴な宇宙人というだけしかわかりません。言葉によるコミュニケーションすらありません。彼らにあるのはただただ人類への憎しみと全滅させる意志のみ。それの理由も明らかにされません。話が荒すぎます。

第二の欠点は、、、これはひょっとしたら逆に評価する人もいるかも知れませんが、これ、、、実は映画「エイリアン」の前日譚です。「Fate」に対する「Fate 0」的な話です。外伝的なお話です。「エイリアン」に直接ではないけれど繋がっています。それだったら、そのことを先に言えよな、っていう話です。テレビのCMでもなんとなくエイリアンっぽいなぁとは思いましたし、あの「エイリアン」で出てきた宇宙船や乗組員になんとなく似ているなぁ、、主人公の女性の強烈な強さと精神力はシガニーウイバー演じるリプリーみたいじゃんと途中思いましたが、まんま彼女と同じような登場人物が同じような冒険をする話、しかも繋がっている話にするなら、この映画の意味ってなんなんだろうという話です。
謎の宇宙船発見、感染、殺される、身体に寄生されてそこからエイリアンが生まれる、脱出しようとするが失敗、的なそういうモチーフがオマージュなんていうもんじゃなくてそのまま全部踏襲されるというのはどういうことなの??? とちょっと怒りにも似た感想をもってしまいました。
本当になんていうか、こんなんならそのままエイリアンをリメイクするか、人類の起源という完全別物のSFにすればいいのに、どうしてこういう内容の映画を作ったのか意図がさっぱりわかりません。
しかも、本国では「エイリアンシリーズ」だと銘打っているのに、日本でそれを隠しているのは、どうなんだろう? と戦略的なところにも不誠実さを感じてしまいます。もうじき公開の「バイオハザード」みたいに、もう開き直ってやっていますというなら、それはもう見たくない人は見ないわけで、、、この「プロメテウス」に限っては敢えてそういう選択肢を取らせないようにしたようで、納得いかないですね。

(ここからは映画を見た人用のさらなる細かいネタバレです。映画見る前に読むのは、、、大阪風にいえば浜村淳の映画解説のようなのを聞いても楽しめる人だけにしてくださいね)
細かいところを言い出せば、他に気になることはまだまだあります。狂っていく、或いはもともとそういうプログラムが施されている、デビッドというアンドロイドが何故あそこまで人に対して無茶な事ができるのか。人の命をなんとも思っていないのか。ここも思わせぶりなだけで、その謎は明かされないのか次回に持ち越されたのかもわかりません。
また同様にヴィッカーズという監督官も、デビッド同様のアンドロイドなのか、それとも本当の人間なのかわからないままですが、彼女の異常性は主人公の一人をあっけなく焼き殺すことで表現されましたが、その行動の裏にあるものは明かされないままです。
また一番の問題は、主人公のエリザベスという女性。
彼女は「エイリアン」のリプリー以上に、肉体的にも精神的にもタフで、パワフルで、人間的な精神をもっていません。長い長い冷凍催眠のような状態から起きて宇宙人に遭遇、恋人を病気で失いかけ、その恋人を焼き殺され、胎内に異星生物を宿され、それを自らの手で鎮痛剤をうちつつ手術して取りだし、ホッチキスで縫っただけのような状態で逃げ回り、宇宙船に再び戻り、宇宙人と戦い、バイオ兵器と戦い、アンドロイドを叩き、たった一人だけ生き残るという離れ業をやった上で地球に帰るのかと思いきや、、、異星人の船で彼らの星に行くと旅立ってしまいます。
いや、もう、ある意味、彼女が一番人間でないです。
こんな強靱なというか、他の全てを無視して動ける人間はいません。リプリーもかなり強烈な人格でしたが、それ以上です。彼女は科学者でありながら、古代の戦士以上に勇敢でタフで肉体派です。このあたりがちょっと設定に無理がありすぎないか、、、という気がとてもしました。
細かい映像では見るべきところがたくさんある映画だったんですが、こういうところがいろいろ重なると、「傑作か?」と聞かれると、僕個人としては、「莫大なお金がかかってて映像美はあるかもしれないけれど、映画としては完全に駄作だね。ラジー賞でも狙ったの?」と答えざるを得ません。
うーん、、、映画一本見てここまで酷い感想を書いたのは初めてかも知れません^^