小説・漫画好きの感想ブログ

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「テルマエ・ロマエ 4巻」 ヤマザキマリ著 感想 

  ローマ時代の風呂設計技師が、現代日本にタイムスリップしてはローマに新しい風呂文化を持ち帰るというヒット作、テルマエ・ロマエ、最新刊です。
 来年の春に、阿部寛主演で映画化ということもあり、その原作になるんじゃないかなというようなエピソードがこの四巻になります。
 具体的には、この巻では、主人公のルシウスが珍しく一巻まるまる現代日本にタイムスリップしたままで、しかも、ラテン語を話せる美人女性との間に少しラブロマンスが芽生えかけます(現在進行形なのは4巻だけではエピソードは完結していないのです)。
 これは、今まで言葉が通じないままに、日本人の使っている風呂や風呂に付随するものや周辺文化だけみて、落ち込んだり心ときめかせていたルシウスからするとかなりの大変化です。これによってルシウスは色々なものを過去に持ってかえったり、いらない知識も得てしまうかもしれませんし。そして、それは、この巻を見る限りではギャグのキレを悪くしてしまっています。でも、映画を単なるギャグで終わらせない、映画作品として一般受けするためには、今回は仕方がないんだなとは思います。例えば、ずいぶんベタベタな話ですけれど、ローマに戻った彼が、未来でも人種が違っても目指すべきものは同じだとか、風呂は一番だと思ったりするモノローグがエンディングで生まれたりとか、どちらかが時空を超えてそのまま居残って、ヒロイン役の上戸彩とどちらかの時代で結婚したりというような感じになるかも知れません。
 個人的にはそういうベタなところにもっていかずに、普通にカルチャーギャップを楽しむギャグ漫画として楽しみたいのですが、映画というお祭りならそれはそれでありかも知れませんからね。

 追記:作中と著者エッセイに出てくるのですが、古代ローマでは雷とはユピテル神の力ではなく、雲と水蒸気の摩擦によって起こるものだと考えた人がいたことが紹介されます。別の本で読んだ話ですが、古代ローマには現代のタクシーに匹敵する、移動した距離を自動的に計算する馬車、今でいうタクシーみたいなものも存在していたとか。本当にすごいレベルの科学力があった時代だと感心します。

テルマエ・ロマエ IV (ビームコミックス)

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