小説・漫画好きの感想ブログ

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「なぜアヒル口に惹かれるのか」 野村理朗著 感想 

「なぜアヒル口に惹かれるのか」 野村理朗著 感想 

 最近はやりのアヒル口についての、学術的なアプローチ本。AKB48板野友美上戸彩、広末涼子に田中美保など最近ではアヒル口の女優やアイドルさんが目白押しで、女性雑誌でもアヒル口がもてはやされておりますが、アヒル口になぜ男性は心惹かれるのか? アヒル口が男性にモテる理由やその科学的な根拠とは何か? というのを認知心理学や大脳生理学や文化的背景などをもとに解明していくというコンセプト本です。著者の野村氏は広島大学の准教授だそうで、読んでいくとよくわかるのですが色々な学問を横断的にまたぎながら研究している方のようです。
 内容のほうは、「なぜアヒル口に惹かれるのか」という最終的な結論はちょっとまとまりが悪いように感じますが、途中のいろいろな顔学や心理学のアプローチやその紹介はなかなかに面白く、雑学小ネタ・トリビアが豊富でなかなか楽しめました。
 例えば、斬新だなと思うのでいえば、アヒル口に対して男性が興味をひかれるのは「萌え」文化と密接にリンクしているであるとか、日本人は遺伝子的に6割の人間が「萌え」やすい遺伝子を持っているとか、アヒル口は女性の美的戦略にとってはタダ乗りのアクセサリーのようなものだけに他の女性のそれに対しては否定的・悪感情をもってしまうとかそういうのは興味深かったです。また皆がよく知っているレポートである、いろいろな顔の平均顔やシンメトリー顔を人間は美しいと思うというよく知られた実験結果からさらに研究を進めた、やはりその平均よりも「より評価の高い顔」の平均顔というものが存在する、それは赤ちゃんや大人も同じ傾向が出るとか、顔の認識パターンにおいて東アジアの人間のパターンだけは世界でちょっと特集であるとかそういう話はなかなか面白かったです。
 この本ではそうした色々のトリビア的なものや最新の学説をいろいろと紹介しながら、顔についての人の認識の仕方や、脳が人の顔をどのように認識し評価するのか、顔というものの個々のパーツが相手に対してどのような作用をもっているのか、アヒル口が昔はむしろ悪口だったはずなのにこう人気になった仮説などが紹介されていきます。最初に書いたように、最後の決定的なこれだ!という結論部は曖昧ではっきりしていないのですが、途中のあれこれについては面白かったです。
 特に、萌え要素と草食男子とアヒル口がリンクしているという話は、なかなか面白かったですし、それが正しいとアヒル口は男子にもてはやされるものの、本当の意味での恋愛対象からは除外されているということになる筈なので、そのあたりは女性陣にとってプラスなのかマイナスなのかご理解した上で採用しているのか色々聞いてみたいですね。