小説・漫画好きの感想ブログ

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「ハルシオン・ランチ」2巻 完結編 沙村広明著 感想 

 こんばんは。
 沙村広明のサブカル満載の異次元SF「ハルシオン・ランチ」第二巻、完結編です。
 外宇宙の果てから地球に送られてきた、資源回収のための生体デバイスの少女達。彼女たちは、彼女達を認識した人間が保護欲をかき立てられる存在としての外見と、圧倒的な食欲をもって地球侵攻のために日夜作戦行動を開始した。。。はずなんですが、そんな大風呂敷なSFとは思えない展開に、ダメンズとシスコン、ブラコン、ファザコンに人生の落伍者達が入り乱れての愛憎劇とメタコメディ、そしてこれでもかと投入されるサブカルチャーネタの嵐という豪華なんだか闇鍋的なのかわからない漫画になっています。
 ということで、正直、読み手によっては評価がてんでバラバラに別れそうなこの本ですが、個人的にはこの本大好きです。ある意味、センス・オブ・ワンダーに満ちあふれています。この漫画の混沌具合、壊れっぷり、尖り方、サブカルチャー万歳でヒッピーから薬物から特殊性癖までカバーする幅の広さに、「無限の住人」の作者としての本領発揮の圧倒的な画力。これはもう脱帽して、爆笑して、絵のセンスにため息をつくしかありません。
 またギャグのキレの鋭さにも注目です。その真骨頂はこの作品の中盤に出てくる、顔写真とキャプションだけのページでしょうか。前後のつながりや会話の中のギャグが出来るのは勿論、ああいうのも出来るんだなぁと感心しきりで笑わせていただきました。
 上下間二冊くらいが適当な長さといえば長さなんですが、是非とも沙村さんには今後もこういうギャグ的なものと、「無限の住人」や「ブラッド・ハーレーの馬車」のようなシリアス重視の物語の二本立てで頑張って欲しいです。

ハルシオン・ランチ(2) <完> (アフタヌーンKC)

ハルシオン・ランチ(2) <完> (アフタヌーンKC)