小説・漫画好きの感想ブログ

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「セガンティーニ 光と山」 



 お盆の日に、滋賀県の佐川美術館まで鑑賞にいってきたセガンティーニという画家の画集兼解説書です。
 セガンティーニさんという人は、日本ではいまいち知名度が低いですが、存命時のネームバリューというか成功具合でいえばセザンヌゴッホ、マネなどとは比較にならないほどの成功を治めており、作品点数こそ少ないものの非常に特徴的な作風の方です。
 新印象派の分割技法、いわゆるディヴィジョニズムの先駆者の一人として活躍される方なんですが、そのスーパーリアリズムじみた独特の質量感をもった画風に、プラスするところ現在日本人には親しみやすい光と影の強いイメージ的な光彩に溢れたやや漫画的・アニメ的な表現をもふんだんに取り入れているという類い希な方です。
 例えば、彼の代表作であり最後の大作とされるアルプス三部作<生・自然・死>のうちの<自然>ではアルプス山中の大自然と牧歌的な暮らしを切り取った風景画ですが、この絵の空の部分は集中戦ともよぶべき光のきらめきがごく細密なタッチで表現されており、じんわりのんびりと見ているだけで心を寛がせる癒しの光が満ちあふれています。
 初期作品なんかはいかにもヨーロッパ油絵世界そのもののタッチなんですが、ディヴィジョニズムで独自の画風を確立したあとは、その立体感溢れる写真のようなタッチに加えて、フェルメールと同レベルの光と影の効果の強いメリハリの効いた画面構成がふんだんに使われるようになってくると、オリジナリティに溢れるその作品はとても日本人に親しみやすいものになってゆきます。他のオールドマスターズのような、或いはそれ以降の西洋海外画家ほどには宗教的暗示やモチーフも少なく、聖書の基礎素養がない人間が見ても楽しめる作品になっていきます。
 まぁ、親しみやすい彼の絵の中にも例外的なものはあって、それは中期の自画像なんですが、、この自画像だけはちょっと怖くて、まるでホラー映画のパンフのようで笑ってしまいます。なんといおうか「ベルセルク」の蝕の時にでもでてきそうな感じです^^


 ・・いうことで画集の紹介をしたかったんだけれど、、アマゾンでは取り扱ってないようですので、、絵だけちょっとひっぱってきます。