小説・漫画好きの感想ブログ

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「グイン・サーガ・ワールド2」 栗本薫・宵野ゆめ・久美沙織・牧野修著 

 栗本薫先生がお亡くなりになった後に残された豊穣なグイン・サーガという世界。
 そこを舞台に、何人かの小説家がその世界を語り継いでいくという企画ものの第二巻です。前巻は、それぞれの方がおそるおそるグインの世界に足を踏み入れていた感がありましたが、今巻からはそれぞれの目指す世界がずいぶんとハッキリと見えてきたような気が致します。
 久美沙織さんのスカールの少年時代を描いたお話「星降る草原」は前巻ラストほどの衝撃はないものの、外伝という感じでは一番それらしいお話で、これがどう前巻と繋がっていくのかが楽しみ。
 牧野修さんのノスフェラスを舞台にした「リアード武侠傳奇・伝」は、ごめんなさい。ちょっとノーコメントです。
 それから宵野ゆめさんの「宿命の宝冠」、こちらは沿海州を舞台にしているお話ですが、主人公の麗人の上の兄弟や霊感をもつアルピノの妹が登場、母親であり女王だった人の若いときの物語なども出てきて、いかにも大河風でありつつ、なおかつ剣と魔法という主題がしっかりとあり、一番栗本薫先生の流れを継いでいる気がします。
 ただ、これは個人の好みですので、中には牧野さんのが一番いいという人もいれば、もっとまともにグインの外伝を書いて欲しいとか色々な意見が出てくると思います。そのためにもこれくらい色々な方向性があるのがちょうどいいのかも知れません。ともあれ、そういう試行錯誤の中できっと素晴らしい作品がたくさん出て、グインファンの皆が楽しめる世界が生まれてくると思います。
 それだけに、このグイン・サーガ・ワールドがいきなり途絶えないようにグインファンとしては、栗本薫作品以外は認めないという人も含めて、全員で応援していって欲しいなと個人的には思います。

グイン・サーガ・ワールド2 (ハヤカワ文庫JA)

グイン・サーガ・ワールド2 (ハヤカワ文庫JA)