小説・漫画好きの感想ブログ

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「公共哲学 政治における哲学を考える」 マイケル・サンデル著 感想  

 本年183冊目の紹介本です。
 こちらは、ちくま学芸文庫マイケル・サンデルの本も何冊目かになりましたが、今までと違ってアメリカの哲学・政治学の概論といった感じの本です。
 これまでこうしたマイケル・サンデルのまともった著作は読まずに、テレビでの白熱教室や授業の抜粋書だけ読んでいたのですが、それらとは随分と印象が違いました。
 授業や講義での共通点としては、、サンデルさん、議論は盛り上げるんだけれど結局自分としての結論はこうだ、今日の議論としての結論はこうだ! という白黒をつける話をあんまりしないんですよね。このあたりがちょっと不満でした。
 日本流の結論を出さない各陣営が対立したまま言いっぱなしの状態はそれはそれでダメだけれど(悪いときの「朝まで生テレビ」のような)、こういう風にそれぞれの意見を取り上げるだけで結論までつっこまずに双方のいいとこだけ挙げていくパターンもどうなのかな、ちょっと物足りないなという気がしてきました
 個人的には、いろいろな問題の結論に関して自分なりの解答/回答を持つべきだと思うし、その自分の中でのディスカッションの参考例の一つとしてもっともっとサンデルさん個人のエゴもなにもかも含めた意見を前面に出してきて欲しかったなと思っていましたので、この本ではそのあたりが少し垣間見えたのは前進です。
 ただ、それでも、この本もまだ概観・アメリカ史的なところが強いので、今度はサンデル本人の哲学について語った物について読んでみたいと思います。


公共哲学 政治における道徳を考える (ちくま学芸文庫)

公共哲学 政治における道徳を考える (ちくま学芸文庫)