「天と地の守り人〈第1部〉ロタ王国編」 上橋菜穂子著 感想
「精霊の守り人」から始まった大人気シリーズの、「守り人シリーズ」「旅人シリーズ」の最終クライマックス三部作の第一作目です。
「精霊の守り人」「闇の守り人」「夢の守り人」「虚空の旅人」「神の守り人」「蒼路の旅人」ときて、この「天と地の守り人」ですべての物語が収束していくことになります。チャグム、タンダ、トロガイ、シュガ、そしてもちろんバルサたち全てが登場。南から北に渡った新ヨゴ皇国の皇太子として生まれたにも関わらず、父に疎まれ、異世界の者たちに反応しやすい身体をもってしまい、なおかつ腹違いの弟を生んだ義母の血縁者からは命を狙われる悲運の皇子チャグムは、今回も民草のために、自分のために、そして愛する世界のためにと動きます。
今回は三作で一つのお話ということで、まだ物語の途中ですが、本格的かつ感情移入しやすい物語は、今回もまた胸を熱くさせてくれる予感が強烈にあります。
北の大陸侵攻を企む南のタルシュ帝国から逃れ、身体一つでロタ王国にたどりついたチャグムを待ち受けていた運命はあまりに過酷、ひどいものでしたが、それにもめげずに自ら道を切り開くチャグムの姿には立派な成長のあとが伺えます。数作を経て、チャグムは本当に成長しました。
シリーズをお読みの方は是非この最後の三冊を読んでいただきたいです。
- 作者: 上橋菜穂子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/05/28
- メディア: 文庫
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追記:巻末には、佐藤多佳子さん、荻原規子さんの鼎談が掲載されています。ちょうど東日本大震災翌日予定だったのが延期になった経緯やそのときの話なども載せられています。