「花咲ける青少年 特別編1」樹なつみ著 感想
ただいま帰りました。
こんな時だからこそというわけではないですが、売り上げから義援金も出して、さらに人を雇って経済をまわして復興の一助になろうとあれこれ動いているとこんな時間です。東北、宮城、岩手の被災者のことを思えば暖かいところでの仕事なんて、あっさりとした軽いものですけれどちょっと疲れましたね。
さて。ここんとこブログの内容がかなりハードだったので、ここを読みにきていただいている人の気持ちを軽くほぐす意味でも、ちょっとまた漫画とか小説の紹介を一日平均で一冊程度入れていきますね。たまにはほんの一時間くらい頭をからっぽにして、漫画を楽しむ、違う世界に入り込むことも必要ですからね。
ということで、、、本年57冊目の紹介本です。
「花咲ける青少年」特別編の第一巻です。往年の名作少女漫画「花咲ける青少年」の、続編とかではなくて、あくまで番外編、外伝といった形での短期連載の第一巻です。
第一話は、ラギネイ国王となったルマティのもとに、花鹿、傲立人、ムスターファ、カール、そしてクィンザそっくりの青年までもが登場というお披露目的な話。第二話からは、本編の主要人物として、花鹿をめぐる婿選びの主役達一人一人の前日談・後日談となります。第二話は、ひたすら美しく、死の影に彩られた、ムスターファことユージィン・ド・ヴォルカンの話で、彼がまだ死神のように思われていた時代のお話。この作品を読むと、本編での花鹿との出会いで、ユージィンは本当に魂を救われたのだなというのが再認識されるいいお話でした。
第三話は、カールの話。彼の女性嫌いの原因と、自分の出自に対する嫌悪、人間嫌いからの脱出を描いた作品で、こちらもなかなかに手堅くまとまったお話でした。二話も三話もそうですが、質・量ともにしっかりとした作品で、完結から十年ほどもたった漫画のお話とは思えないほどに、お話が生きておりました。作者の樹さん曰く、過去の絵に似せた、とありますが、本当に違和感なく読めました。
ただ、、、よく出来たお話であればあるほど、これだけの美声年で悩めるセレブ達が、主人公で天然少女の側面の強い花鹿にあれほどはまり込めるのか(もちろん作中ではそれぞれのトラウマやらコンプレックスやらを彼女が意識的にではなく、素直な気持ちとストレートな感情表現で癒すからそうなるのだけれど)、がやっぱり改めて謎になりましたけれどね^^
ともあれ、この特別編は、当時この作品が大好きだった人にとっては、とても嬉しいプレゼントだと思います。スピンオフとか続編とかって面白くないことも多いんだけれど、これは十分水準以上の作品だと思います。おすすめです。
花咲ける青少年特別編 1 (花とゆめCOMICSスペシャル)
- 作者: 樹なつみ
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2011/03/04
- メディア: コミック
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