「ウォッチメイカー」 ジェフリー・ディーバー著 感想
本年351冊目の本紹介です。
年末恒例のお楽しみ。リンカーン・ライムとアメリア・サックスのコンビが活躍するリンカーン・ライムシリーズの最新文庫です。
タイトルは「ウォッチメイカー」。
今から殺す相手の側にチクタクと秒針の進む音がなる時計を置き、ゆっくりと拷問のような殺人術で相手を殺す連続殺人鬼、ウォッチメイカー。彼はある意味で今までのシリーズ作品でリンカーン・ライムと戦った犯人の中ではある意味最強の人物かも知れません。冷静沈着で用心深く、犯行現場に一切の証拠を微細証拠も含めて残さず、しっかりとした下見の上で犯罪を犯すタイプで、それでいて場合によっては瞬間敵に今知り合ったばかりの人間でもあっとい間に殺すタイプです。非常に危険な相手です。
そんな犯人を追うライムのチームには、いつも以上のチームワークが求められるところなのですが、こちらには奇妙なちぐはぐさが生まれます。一つには、サックスが刑事として初の担当事件を別にもって事件の二股をかけないといけない事態に陥ったこと、二つにはその過程でサックスは父親の不正を知ることになってしまったのがその原因です。サックスはかつて、第一作の頃に、恋人が不正警官として逮捕されるということで大きなトラウマを持っています。それが父親もそうだったという事がわかり、彼女の心は千々に乱れます。
このまま警官を続けていけるのかと迷うサックス。
サックスとの公私にわたるパートナー関係が崩れるかも知れないことに動揺するライム。難しい捜査に入り続ける妨害工作。ライムのチームはいつも以上の苦戦を強いられます。
いつもながらに、ツイストが多く、どんでん返しが続くこのシリーズだけに、おそらく下巻でもかなりのツイストが予測されますが、今回はわりと早い段階からその仕掛けがされているようですが、まだ全貌は見えず、下巻を読むのがとても楽しみです。
ところで、これは余談ですが、、今までのパターンからすると本作はどうして「ウォッチ・メイカー」ではないのでしょうか? 「ボーン・コレクター」「コフィン・ダンサー」みたいな・のパターンから何故か今回は離れました。??? と変なとこが気になりました。
- 作者: ジェフリーディーヴァー,Jeffery Deaver,池田真紀子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/11/10
- メディア: 文庫
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