小説・漫画好きの感想ブログ

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「つらつらわらじ」一巻  オノ・ナツメ著 感想

 明日の仕事の準備などをしていると気がつくとこんな時間です。
 部屋の片付けは今晩も厳しいかなぁ。。。。ま、それはそれとして。

 「つらつらわらじ」、オノ・ナツメさんの時代物の漫画です。
 「リストランテ・パラディーゾ」でのメガネ老人達満載の漫画から入ったせいか、オノさんの時代劇ものというのに未だに慣れません。アニメ化もされた「さらい屋五葉」という前提もあるんですが、なんだかまだまだ違和感です。
 今回のお話は、現在の岡山県にある、備前熊田藩という架空の藩の藩主一行の江戸への参勤交代の道中記です。
 気前がよくて、人情の機微のわかる藩主として有名な当代の熊田家当主は、江戸の老中達には嫌われています。倹約・節約をと呼びかける江戸幕府の政策に公然と逆らう藩主に、幕府はなにかと難癖をつけていきたいのですが、なかなかに切れ者の藩主はその隙を見せません。
 かくして、この参勤交代の大名行列には幕府お庭番の密偵が忍び込み、藩側としてはそういう者達に何かつけいる隙を与えないように、殿様が問題を起こさないようにと家老たちが鉄壁のガードを敷くという異例の行列が始まります。とはいえ、今回殿様についていく御家老は、家老就任二年目のまだまだ新人若輩者。代々筆頭家老の家柄のものではあるものの、本人はまだ若く、そして若いということで二番家老にされたことに少しわだかまりもあるという状況。つまりはつけいる隙がたくさんある状況で話のさきは全く見えません。
 ある意味、本当の主人公が誰なのかもまだわかりません。
 こういう状況下で進んでいく大名行列を群像劇という手法で描いているのが、この作品です。
 キャラクターが例の独特のオノ・ナツメタッチなので、気を抜くと主要人物でさえ誰が誰だかわからないようになりかねませんが、そのぶん実に味わい深いタッチでもありますので、一読してさらりと終わるのでは微妙な表情や変化を楽しみながら二回、三回と繰り返し読むことでより深い味が出てくるかと思いますので、お手にとった際には何度となくページを繰られることをお勧めいたします。
 

つらつらわらじ(1) (モーニングKC)

つらつらわらじ(1) (モーニングKC)