「黒い季節」 沖方丁著 感想
「天地明察」の沖方丁の文庫最新刊。
やくざ同士の抗争ものに、古代陰陽道や呪術がまじり、エロスとバイオレンスの嵐が吹き荒れる。無理やりな漢字に難解なルビをあえて振り、半陰陽や呪いの絵画までが登場、人の心を食い荒らしていく、、、となると夢枕獏さんですか?? と思わずつっこみたくなりました。
また、とにかく文章が荒い。はっとする文章の切れ端や、センスを感じるところもあるんですが、全体に荒いし、プロットがプロットとして破綻していたり、力任せな展開のところがあり、なんだか若書きというか、学生時代にちょっと背伸びして小説を書いたときのものを焼きなおしたのか? というような感想を持ちながらずっと読んでいたのですが、巻末解説で納得。
沖方丁の文庫新刊、、と思って買った作品、実は彼のデビュー作の版元変更だったようです。
スニーカー文庫の対象受賞作にしてデビュー作で、当時はまだ学生のようでして、、まぁ、読んだまんまの話でした。なるほどなるほどです。ただ、それだからいいかというと、冒頭に書いたような感想しか出せません。
沖方作品を初めて手に取る人が、あの2010年本屋大賞の人の新作、吉川英治新人文学賞の人の新作などと軽く手にとったならば、、、たぶんマイナスイメージをもっちゃうんじゃないかなぁと心配です。このあたり、出版社はもうちょっとうまくフォローしておかないといけないような気がします。
- 作者: 冲方丁
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/08/25
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 15回
- この商品を含むブログ (7件) を見る