小説・漫画好きの感想ブログ

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尖閣諸島問題 釈放の功罪、、いや功はないか

 こんばんは。
 真面目な話。下の議論からの続きの話なんですが、、、大前提として、僕はやはり尖閣諸島問題に関してはお互いに触れないというのが一番の問題解決手段であったという持論は変えません。今回のこの結果(今からまだ悪化していきそうだけれど)を見てもやはりその認識は間違っていなかったなと思います。
 国防の準備もなく、世論合意や国際合意を先に取り付けないままに尖閣諸島問題が領土問題としてクローズアップしていくことは現時点では中国はもとより日本にとってマイナスになるという予測はまさにその通りになっています。
 とはいえ、あそこまでつっぱねて大問題にした以上(というよりは中国に強引に大問題にされたという感もありますが)、交流期限のはるか手前で事実上の無罪釈放というのは、もう既に事態が進んでしまっているあの時点ではより大きなマイナスでしかなかったなと思います。
 まだあの船長を検察が拘束している間に、中国はどんどんと制裁措置をエスカレートしていきました。しかし、それらについては国際世論の後押しや理解は得られなかったし、同様の問題を抱えるフィリピンやベトナムなどからは日本へ心情的な同情が逆に集まりましたし、アメリカが安保条約の部分発動までをにおわせました。ある意味、これ以上何かやれば、中国のほうが逆に国際世論からははなはだ激しい非難を浴び、あちらに出資進出している世界の企業がじわじわと撤退するという方向にいくかも知れない可能性が少し見えてきていました。そのタイミングだっただけに、何の交換条件もないままでの釈放というのは何をどう考えても筋が通らないというだけでなく、国益というものから考えても何を考えているのかわからない最大の外交的失敗、戦後ここまで間抜けな失敗は、相手国民や世界が注目している中ということを考えれば一番の外交失策だと思うのです。
 (本当は、これに先だって、北朝鮮の金正日の息子が日本に偽名で遊びにきて拘束されたときに、拉致被害者と交換などの事を何もせずにただ帰国させた自民党の失策の方が遙かに大きいのですが、これらは北朝鮮国民にも国際一般社会にあまり認識されていないので今回よりはまだましかとは思います。ただこの前例を見ると、自民党も今回の民主党以上にひどい失策を平気でしているという事がよくわかりますが)。
 
 どのみち、那覇地検が最後まで拘束して裁判にかけたとしても、最高5年程度の実刑。ましてや初回ともなれば、執行猶予つきで一ヶ月以内には日本の法律に従う限りは、どうやっても日本から中国へ彼を送らなきゃならないことは決定していた(その程度のことは皆さんも知っていますよね? たまに知らないという人がいて驚くのですが・・・)わけですから、それを思えば政治的判断でことを決するということ自体がダメだとは思いません。
 ただ、その条件が何もないというのはあまりといえばあまりです。
 少なくとも、日本に対して公式には中国政府でなくてもいいから中国漁船の密漁について謝罪させる。あえて尖閣諸島の問題については触れない、意思表示の証として拘束している日本人の解放があればメンツ好きの中国人のメンタリティをたてつつも、日本の毅然さも出せたと思います。そりゃ、もちろん、最上級の結果でいえば、尖閣を日本の領土といわせるのが一番ですけれど、中国政府としてはそれを言うくらいなら船長には数ヶ月は日本で留置させるほうを選ぶだろうし、下手をしたらなんらかのやり方で中国内部の邦人に危険が迫ったかも知れません。
 だから、トコトンの結果、決着までは事実上どんな交渉人がいたとしても無理であったと思うのだけれど、せめて某かの状況を作り出せたはずだし、少なくとも、政府としてはこれこれこういうことの為に敢えて国内法からすればこうだけれどこの中国人船長を解き放つみたいな方策は取るべきであったと思います。
 また、法律論でいえば、検察が今回のような形で、形式的にせよなんにせよ、二国間の政治状況をおもんばかって、罪に問う問わないを決めれるという文言を残してしまった以上、悪い意味での前例に使われるのが確定しているようでそちらにも危惧を覚えます。
 
 中国が話のわからない、暴君のような事を現実世界の政治でも行うのだということを西側諸国などにも知らしめたことについては怪我の功名で良かったのでしょうが、、、それ以外については今回の政府対応は全くといっていいほどに評価すべき点が見いだせませんでしたし、マイナスのことばかりでした。
 特に、菅首相や前原外務大臣がいない中での、仙石官房長官のこの行動は大いに攻撃されるべきもので、罷免されても当然のレベルのことであると思います。
 ただ、それはそれとして、自民党や一部国民がこれを契機にと民主党への攻撃ばかりに終始して、では中国に対してどういう方向へと向かうべきか健全な議論をする方向へいかず、さりとても、それぞれのパイブで事態収拾をはかろうとかいう姿勢がみられなかったのがとても残念でした。国難といっていい状況でも、自民党には反省がまったく見られないのだなというのは多くの国民の方も感じられたことかと思います。
 こういう時だからこそ、どちらがいいとか悪いではなく、日本にとって一番いい方法とか、いい策はないかと超法規的に政党の壁を越えて協力できない物かと思います。
 また理想主義過ぎるといわれるかも知れませんが、日本のためにまとまる、以上にどんな大義名分も実利もないと思うのです。