「古語雑談」 佐竹昭広著 感想
ちょっとアカデミック系な本です。
古語の研究者の方が、古語についてのあれこれを書いたもので、「へぇ〜」と感心する話や、意外な話などあって楽しい反面、万葉集や古語の解読の話はやや難解で専門的にすぎるので興味がないとサッパリかもしれません。けれど、もともとが新聞連載だったものだけにほどよい分量で話が進みますので読みやすいです。
僕が興味深いなぁと思ったのは、古代日本の色の概念。昔、日本には、「黄色」の概念がなかったという話。赤い色、青い色はしっかりと概念があるのに黄色というのがなかったという話。文字としては「黄泉の国」に見るように漢字として日本に入ってきてはいたものの、古代日本では、黄色は暖色系の一部で赤の一種類として捉えられていた(同様に緑は青に含まれていた)というのがなかな学問的に興味深かったですね。こうなってくると、虹は二色の色のバリエーションであったりしたわけで、、なかなか面白いですねぇ。それで思い出したのが、この本の中身とは離れますが、世界中の子供達に太陽の絵を描かせると、日本を含むごく一部の国だけが太陽を赤だったり黄色だったりで描くという話。諸外国では赤でも黄色でもないそうです。世界では白が主流だそうで、、、まぁ、確かにねと思いはしますが、これも刷り込みなんでしょうか。夕陽の、あの真っ赤な太陽が沈んでいく印象が強いのか、自分の中でも太陽は赤いんですよね。知らず知らずに人は民族的な意識のフィルターをかぶせられてるのかも知れません。
あと、面白いなと思ったので言えば、「弁当」。弁当の弁は不便の便だったという話で、便はそもそもは便利の便で役にたつたたないを表しており、「弁当」はに便に当たる。つまりは役に立つということを表し、逆に「不便」は今も残る用法の通りで、役にたちづらいということを表していた。つまり、弁当という言葉はもともとは役にたつという意味だけだったのが、いつのまにか役にたつものが転じて、外でも食事が取れる便利なものということで、今の弁当になったということで、不便の対義語だったというのがなかなか面白かったですね。
たまにこういう本を読むのも面白いものです。
- 作者: 佐竹昭広
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2008/11/11
- メディア: 単行本
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