小説・漫画好きの感想ブログ

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「花散らしの雨 みをつくし料理帖」 高田郁著 

 本年140冊目の紹介本です。 
 少し前に紹介した「八朔の雪」に続くシリーズ第二作です。前作冒頭では、そば屋の下働きだった主人公の澪。しかし、彼女が料理に才能を示して、町で話題の料理屋になっていくにつれて、お話の登場人物も増えて行き、より重層的なお話になってきました。
 例えば、新しい登場人物でいえば、戯作者の清右衛門。ネタバレになってしまうので言えませんが、ちょっとわけありの奉公人として登場するふき。口入れ屋からやってくる臨時手伝いのお婆ちゃんのりう。この他にも宿敵とも言える料理店として登場の登龍楼のメンバーもでてきます。登場に際してのエピソードも、それらの面々の位置づけがしっかりとわかるものであり、そこに料理ネタが絡んできて、と非常にバランスよく語られます。
 最初の一冊目を読んだ時は、すごく感動的ではあるけれど、その後どうなるのかな、このレベルで素晴らしい時代劇ものとして続いていくのかなという危惧を一抹の不安として抱いていたのですが、そういう心配はこの一作でまったく打ち消されました。料理物としても、時代物としても、人情ものとしても高い水準を今回もキープしています。
  あと、あえて触れませんでしたが、物語の軸としてもう一つ、澪の幼なじみがキーパーソンとして登場して来るんですが、その女の子の境遇や澪との関係性もこの作品のスパイスというか軸としてずっと今後もいきてくるものだと思います。
 本当にこのシリーズはオススメです。

花散らしの雨 みをつくし料理帖

花散らしの雨 みをつくし料理帖