小説・漫画好きの感想ブログ

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「まんまこと」畠中恵著  

 「もっけ」、、ではないや「しゃばけ」シリーズで有名な畠中恵さんの文庫新刊。時代物の連作短編集です。
 今回は、町名主さんの息子で麻之助というのが主人公。
 当時の町名主さんは、当時の裁判所である南北奉行所へのお届けにするまでもない事件はその家の玄関で裁判の真似事のようなものをしており、それが故に「げんか」などとも呼ばれていた、などというトリビアから始まる本書ですが、なかなか面白いです。
 主人公の麻之助という人物の造型が、「しゃぱけ」シリーズの若旦那とは正反対で、喧嘩の腕は超一流だし遊び人だし洒落もわかるというなかかなにアクティブなのですが、この人物造詣が実巧みです。純情なところもあるものの、実に活動的でぐいぐいと話を転がしてくれていて、読んでいて気持ちよく話がすすんでいきます。
 昔はお堅い真面目だった主人公が、遊び人になった原因とその解決も連作短篇の中で語られていくんですが、その塩梅も実にいい。安定して楽しめる時代劇もののシリーズがまた1つ増えたかなと思います。

まんまこと (文春文庫)

まんまこと (文春文庫)