「堂場警部補の挑戦」 蒼井 上鷹 著 感想
ひさびさに創元推理文庫のミステリでヒットが来ました。
トリッキー、技巧派のミステリ好きのためのひねった短篇連作? 集です。
主人公は堂場警部補という、一昔前の刑事コロンボ風、むしろ性格を加味すればフロスト警部のようなタイプのおっさん丸出しの中年おやっさん系刑事。たぶん普通にみたら出来の悪い刑事に見えるんですが、果たしてその実体や如何にといったところで、叙述トリックも山積みなので、感想やあらすじもこのあたりまでしか書けないちょっと紹介が難しい作品です。
しかし、このとぼけた雰囲気の警部が対峙する事件やシチュエーションがなかなかにひねりが効いていて、メタミステリ的な要素も楽しめてなかなかにお買い得な一冊でしたので、是非ともミステリ好きな人には読んでいただきたいです。
ただ、惜しむらくは4つほど入っている作品の中で、一番読みづらいというかひねりすぎて結果わかりづらい作品が冒頭作に来てしまっているのが構成的には残念。自分みたいに読み出したら必ず最後まで読む人はいいんだけれど、最初にこれを読んだ時点で投げ出してしまったり出来が悪いと思ってしまう人もたくさん出るんではないかなと思ってしまうので、そこが残念です。
なので、ここで敢えていいますが、二つ目からの作品はなかなか面白いので投げずに読んでいただきいです。まぁ、幾つ目かの作品のラストでは、連作作品としてはありえないオチがついたりするのですが、そのあたりもなかなか驚きの斬新なアイデアで凄いなと素直に感心しました。
- 作者: 蒼井上鷹
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2010/02/28
- メディア: 文庫
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