小説・漫画好きの感想ブログ

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「タイムスリップ水戸黄門」 鯨統一郎著 

 イベント続きで、更新が遅れがちで申し訳ない事です。
 さて。
 今日読んだのは、タイムスリップ水戸黄門鯨統一郎さんの「タイムスリップ」シリーズの最新文庫です。髪をオレンジに染めた型破りな女子高生の麓うらら本人や、その周辺人物のところに過去や未来から著名人がタイムスリップしてきたり、本人たちが過去の世界にタイムスリップして歴史を作ったりする荒唐無稽の娯楽SFですが、シリーズが長くなってくるにつれてちょっとパンチが薄れてきた巻があります。思えば、一番最初の森鴎外が現在にやってきて肺病を治してしまう話はプロットがよくできていたし、タイムスリップして古代インドでニューハーフのシャカを世界宗教の教祖にしてしまう話とかはネタ的にもインパクトがありましたが、今回のはいたって普通。お手本のようなタイムスリップもので、鯨統一郎にはそういうものを期待していないんだけれどなぁ、、、というのが率直な印象です。鯨さんには、本を壁に投げつけたくなるような無茶苦茶な話を書いて欲しいものです。
 (あんまりまっとうな作家さんにお願いするようなことではありませんが)
 さて。今回のお話のストーリー紹介を一応させていただくと、過去からタイムスリップしてきた水戸光圀(例の黄門様ですね。日本で最初にチーズを作ったり、ラーメンを食べたりした方です)が、その子孫でありながらも利権政治にどっぷりとつかった国土大臣になりかわって結果的には不正をただすというお話。こういう風に描かれると、日本の今の土木利権政治の仕組みは、幕閣と豪商の関係のように見えてくるから不思議です。
 ということで、非常にゆる〜〜いし、鯨さんにしておとなしめの一冊でした。

タイムスリップ水戸黄門 (講談社文庫)

タイムスリップ水戸黄門 (講談社文庫)