「橋下「大阪改革」の正体」 一ノ宮美成著 感想
橋下府知事に関してのルポルタージュ。すでに絶版のようです。
少し前にこのサイトで勧められた本だったのですが、、、あまりにも偏向が激し過ぎて参考になりませんでした。橋下氏に対する反論というかネガティブキャンペーンが全編で繰り広げられていますが、惜しいかな、イデオロギーが先行し過ぎでかえって内容のレベルを落としてしまっていますし、論理的な誤りが随所に見られます。
特に多かったのが、彼が主張する政策・目指している政策の矛盾について述べるとされているくだりで、彼の理論の誤りというのと議会の結果によって相矛盾することが彼の矛盾とされているのは読んでいて興ざめてしまうところでした。彼が絶対君主であれば、すべての政策においての矛盾をつくことは意味のあることですが、彼の立場や主張と、議会を通した上で出てくることが反対の結果であることは当然であるはずなのです。そこを突くというのは論理的におかしな話です。また、各メディアがこぞって、橋下改革に対して友好的な礼賛的な記事を書く事も避難していますが、それが買収やなにかでない以上、それはメディアに対していうことであって彼に対して文句をいうべき話ではないというのもあります。今まで自民党に擦り寄って来て、また今回民主党に擦り寄り、それが飽き足らないと批判にまわるマスコミのその場その場の盛り上がりに振れる様子と、橋下氏が善政を敷いているか悪政を敷いているかは別としてそれらとは何の関係もないことです。
また、赤字問題について、この程度の赤字はいうほどのことでもなければ、破産しているというのには当たらないというのに至っては、橋下憎しで書いているというのが透けて見えてしまいます。借金はあるよりないほうがよいわけだし、借金が根源的になくなれば利息払いの何十億という予算が普通の市民サービスに使えるのは誰が考えてもわかることで、このあたりが単なるデマゴーグに成り下がっている気がして勿体なかったです。
そういう部分がもっとなければ、橋下府知事と同和問題、WTCの移転についての考察など読みどころもあったので、余計に残念でした。
- 作者: 一ノ宮美成,グループ・K21
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/01/21
- メディア: 単行本
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