小説・漫画好きの感想ブログ

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「風は山河より」一巻 宮城谷昌光著 感想

 中国歴史文学で有名な宮城谷さんが日本の戦国時代を舞台にして描いた長篇絵巻の第一巻がいよいよ文庫に落ちました。主人公は、奥三河の野田城の城主、菅沼新八郎定則。三河に風雲を呼ぶ、松平清康の登場に三河は今川に就くか、松平に就くかの去就を迫られる。そんななか、平八郎は、勇躍、清康に英雄の光を求めて馳せ参じる。。。
 ということで、徳川家康やら織田信長、武田信玄などが登場する二代前の世代から始まる歴史物語。三国志でも同様の方法を採っているのだが、あちらとは違って、こちらはすっと頭に物語がはいってきて退屈を覚えさせない。むしろ、日本ならではの分家・宗家・婚姻関係のあれこれによって一族の敵味方が入り乱れたりする様が今まで、各家系の単体の英傑だけが存在していたような日本の歴史イメージを覆してくれて、気持ちいい新鮮さがあった。
 全六巻で完結しているということで、どこまでを描いている作品かはわからないが、気持ちよく最後まで読み進めていきたい。

風は山河より〈第1巻〉 (新潮文庫)

風は山河より〈第1巻〉 (新潮文庫)