小説・漫画好きの感想ブログ

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「強運の持ち主」 瀬尾まいこ著

 疲れた心にすっとしみこむ瀬尾まいこ
 心が草臥れたときに読むと、なんとなく前向きで微笑ましい気持ちにさせてくれる作家さんの本です。主人公はルイーズという名前の占い師。もちろん、ルイーズなんてのは芸名でばりばりの日本人で吉田さん、彼女は真面目な占い師ではなくてなんとなくの雰囲気で占いをする元OL。彼女は人と一緒にやる仕事が嫌で、占い師をしている。彼氏もその占いの場でみつけた人で、最高の運の持ち主と見えたのであれやこれやのインチキ占いで彼女と別れさせて自分を売り込んだすえに同棲に持ち込んだというのだから、なかなかの強者である。
 そんなルイーズのもとに、様々な悩みをもった相談者が訪れる。
 父と母とどちらと一緒にいるべきか悩む小学生、ものごとの「おしまい」を感じてしまう青年、何度失敗してもくじけずに気になる男性を振り向かせようとする女子高校生など、一筋縄ではいかない相談者たち。彼らの相談を解決しているうちにすこしずつ変わって行くルイーズ。。。
 あとは読んでのお楽しみですが、いつ読んでもほっと心が温まり肩の力が抜ける瀬尾まいこさんの良さはこの本でもとてもよく出ています。微妙な味覚の持ち主の恋人くんもとてもいい味を出しています。どんな世代の人にもお勧めできる軽い連作短編集です。

強運の持ち主 (文春文庫)

強運の持ち主 (文春文庫)