「秋期限定栗きんとん事件」 米澤穂信著
おはようございます。
誕生日ながら今日はバタバタと忙しい一日になりそうなんで、朝のうちにレビューがたまっている中から一冊。
栗きんとん事件の下巻です。
上巻で、小鳩くんと小佐内さんにそれぞれ彼氏彼女が出来て、それぞれの立場から市内連続放火犯について何らかのアブローチを始めていることが語られていましたが、下巻では当然それらの恋模様と事件そのものが解決するのですが、物語のクライマックスは深夜轟々と燃える火災現場の中で出会う小鳩くんと小佐内さん、小佐内さんの手の中にはハンマーが!!
果たして事件の真相は。そして小佐内さんの図った復讐とは!
ねたばれにならないように書いていくのは非常に難しいのですが、小佐内さんに始まって小山内さんに終った「秋季限定栗きんとん事件」でした。この小山内さんというヒロイン、小柄で小動物のようでまるで小学生のような高校2年生なんですが、やはり「黒い」。復讐こそが甘美な快楽といわんばかりの暗躍ぶりと復讐ぶりです。
軽はずみな一言と軽はずみな行動について、徹底的に精神的に破壊されたであろう一人の少年に哀れを誘われますが、それを補ってあまりある彼女の魅力に溢れる一冊でした。本来、探偵役のヒロインとしては彼女はありえない事をするわけですが、そういう後味の悪さもこのシリーズというか米澤さんの持ち味の一つかと受け入れられる範囲内です。というよりはこの突き放した感じも悪くありません。
カウンターパートナーであるべき小鳩くんの方も、この巻では最低なことをされているわりには自分がやはりけっこう最低なんだという自覚をもたされる結果になったり、ある意味、彼らが普通の小市民を目指しつつも、まったくそれは不可能であることが語られた回でした。
そういうことで、ラストで再び関係が新しい変化を見せた小市民シリーズ。
完結編になるであろう「冬季限定」が楽しみです。
秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)
- 作者: 米澤穂信,片山若子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2009/03/05
- メディア: 文庫
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追記:「マロングラッセ」から「栗きんとん」にタイトルが変わったことも、話の中身を考えればそれ自体が一つの暗示として重要な意味をもっていますので、そのあたりもお楽しみ下さい。
追記:陣内智則と藤原紀香さんが離婚? だそうです。やっぱ、どんなにうまくいっているように見えても、中身があわなかったりするとダメなようですね。