「日暮らし」三分冊 宮部みゆき著
病気になって以降も、前ほどのペースではないもののじわじわと読んでおった中で、一番ハイペースで読んだと思うのが、この「日暮らし」という時代劇。「ぼんくら」という作品の続編になります。前作同様に、八丁堀の同心の井筒平四郎、養子に予定している頭の切れる美少年の弓之助、おでこちゃん、お徳、鉄瓶長屋の差配人だった久兵衛、佐吉、葵などが引き続き登場。中編、短篇などを織り交ぜた上で一本の長編にまとめてある作品なんですが、本当に面白かったです。
宮部みゆきさんの実力をまざまざと見せつける作品でした。
群像劇のように、たくさんの登場人物がそれぞれに悩み、考え、苦しみ、そしてともにあることに幸せを見いだしていくこの作品は、すごく楽しませてくれました。話としてはせつない話も多いし、一つ一つの作品の中ではアンハッピーエンドなものもあるし、大きな一本の芯の物語は殺人事件ですから全員が幸せになるはずはないのですが、それでも読んだあとに心が温まった作品です。
「日暮らし」だけでも成立している作品ですが、できたら「前作」の「ぼんくら」を読んでから読んだほうがいっそう面白くなる筈です。
引っ越しのお片づけ中でなかったらもっと詳しく掘り下げて紹介したかったレベルの本です。お勧めですよ。
(ほんと、引っ越し中でなければ、国籍法の改正? についてや、世界同時株安だとか金融強化法案のドタバタとかを麻生首相の事に絡めてあれこれ書きたいくらいなんですが、今は片付けと仕事最優先モードなもので)
- 作者: 宮部みゆき
- 出版社/メーカー: 講談社
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