小説・漫画好きの感想ブログ

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「探偵伯爵と僕」 森博嗣著

 森博嗣の文庫最新刊。
 もともとはミステリーランドというレーベルから出ている本で子供が読んだりできるようにという形で書かれているが、言葉遣いやボキャブラリーは子供向けにしても立派にミステリが成立するというお手本のような作品。
 シャーロックホームズやルパンを子供のときに読んだときに似た感覚を今の子供なら持つのかもしれない。けれど、母国語という強みもあるのだろうけれど、これは子供向けに内容や言葉を削ったりした児童版とかではなくて、そのままの作品です。であるにも関わらず大人が読んでもきっちりとミステリしていて、簡単な言葉遣いの中にも森さんらしい哲学がきっちりと忍ばせてあって、非常によい出来かと思います。
 ミステリーランドレーベルもちょっと何作か読んでみたいかなと思わせる作品でした。

探偵伯爵と僕 His name is Earl (講談社文庫)

探偵伯爵と僕 His name is Earl (講談社文庫)

 追記:ただし、この作品に出てくる伯爵とかって、いまだと普通に「声かけ」事件の被疑者として警察につれていかれそうだったりして、変にPTAとかから話題にされたりしないことを祈ります。