小説・漫画好きの感想ブログ

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「大奥」2巻 よしながふみ著

 大奥の第二巻です。
 今度は時代がちょっと遡って、三代将軍家光の頃。この世界ではこの頃に15歳から20歳くらいの男性だけが流行病で次々と死ぬということが始まったとされており、その余波で徳川家光も死去。跡取りも残さないうちに将軍が死亡してしまったのでは戦国時代にさかのぼってしまうということで、急遽、家光を溺愛して実験も握っていた春日局が家光死亡を伏せ、誰もその存在を知らなかった家光の庶子の娘を影の将軍としてたてたという設定。当然、この将軍は本当は存在していてはいけない将軍なので、その存在も秘し、しかし家光の血統を残すために大奥に種馬として男子を入れていったというような設定。
 まぁ、設定そのものが上手いのはあるんだけれど、そういう将軍の元に顔見せにきた京都の公家の息子が、彼女に気に入られ無理矢理大奥に入れられるところから始まるラブストーリーがこれが切なくてよかったです。秘密を知ってしまった男子は一生飼い殺し。さりとて、将軍である姫はどの男も嫌い。しかし、この公家の血を引く美男子には徐々に心を惹かれていく。どちらも望まぬ運命の中にありながら、より苦しんでいた将軍(姫)をいつしか愛するようになっていく公家の有功。
 男女が逆転した不思議な世界で生まれた愛。
 いいですねぇ。前回の「大奥」も良かったけれど、今回のそれは、設定はSFであり時代物であるけれど、基本的には少女漫画の王道的な感じがしてどっぷりと入りこんで楽しみました。案外、ベタベタな恋愛ものとか、自分好きかも知れません。
 また主人公の二人の造詣がともに見事。男のほうも、最初はバリバリの典型的な本物の世俗を捨てた僧侶だったのが、だんだんと男っぽくなっていくとともに清濁併せ持つ懐の深さも出て来て、かっこよくなっていく。女の方も、最初はただの子供だったのが、自分の中の苦しいところ満たされないところを表現できるようになり、自分を受け入れられることで想いが全開になり、、、本当にいい感じでした。
 綺麗に過不足なく一冊の本にまとまっています。お勧めです。

大奥 (第2巻) (JETS COMICS (4302))

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